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セキュリティ・プライバシー分野におけるユーザ調査研究の地理的偏りを定量的に分析

Digital PR Platform / 2024年9月3日 14時11分

セキュリティ・プライバシー分野におけるユーザ調査研究の地理的偏りを定量的に分析

発表のポイント:

セキュリティ・プライバシー分野における著名国際会議の過去5年間に発表された論文を分析し、既存のユーザ調査研究の参加者が西洋偏重である実態を定量的に明らかにしました。
地理的・文化的に異なる多様な人々に広く適用されるユーザ調査研究方法を提案しました。
この提案が広く受け入れられていくことで、セキュリティ・プライバシー分野の研究におけるダイバーシティ&インクルージョンの向上が期待されます。

 日本電信電話株式会社(NTT、代表取締役社長:島田 明)および国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT(エヌアイシーティー)、理事長: 徳田 英幸)サイバーセキュリティ研究室は、セキュリティ・プライバシー分野におけるユーザ調査(参加者をともなう調査)研究として発表された論文の体系的な調査を実施し、既存研究の多くが西洋を中心とした、限られた地理・文化圏の人々を対象としている実態を定量的に明らかにしました。本成果は、これまでのセキュリティ・プライバシー研究成果の一般化可能性(注1)が低く、日本を含むアジアなどの異なる地理・文化圏の人々が十分に恩恵を得られない可能性があること、および地理的・文化的に異なる人々の差異を明らかにすることの重要性を指摘するとともに、多様な人々に対する理解を促進するための研究方法を提案しました。なお、本成果は、2024年8月14日(水)~16日(金)に米国フィラデルフィアで開催したサイバーセキュリティの最高峰国際会議の一つであるUSENIX Security 2024で発表されました(※1)。  


[画像1]https://digitalpr.jp/simg/2341/94356/650_284_2024090311413166d6775b22cf8.png

図1:本研究の全体像


1.研究の背景
 心理学やヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)などの人を中心とする研究分野では、ユーザ調査を通じて人々の心理特性や行動特性を解き明かしてきました。しかし、これらの研究において研究対象が西洋偏重であり、とりわけ“WEIRDな人々”に大きく偏っていることが指摘されています(※2)(※3)。“WEIRDな人々”とは、西洋の(Western)、教育水準の高い(Educated)、工業化された(Industrialized)、裕福な(Rich)、民主主義の(Democratic)社会の人々を意味します。地理的に偏った人々を対象にしたこれまでの研究では、その結果が全人類で共通のものなのか、それとも地理的な違いがあるのか、あるとすればどのような違いがあるのか、などの観点の深い分析や洞察が十分ではありませんでした。
 一方で、人を中心として心理・行動・意思決定プロセスを分析し、その知見をコンピュータシステムの設計・実装・運用にフィードバックするセキュリティ・プライバシー研究分野においても、地理や文化の違いに結果が影響されることはいくつかの調査によって示されてきたものの、これまでの研究がどの程度“WEIRDな人々”に偏っているのかについて研究分野の全体像は明らかになっていませんでした。

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