【大阪大学】免疫を標的としたB型肝炎の創薬へ B型肝炎慢性化に関わる免疫の変化を発見 ―TLR7を標的とした治療開発に期待―
Digital PR Platform / 2024年10月11日 14時5分
【研究成果のポイント】
◆B型肝炎ウイルスが持続感染した場合に、生体内の免疫がどのように変化するのかについて観察できるマウスモデルの開発に成功
◆B型肝炎の慢性化に細胞傷害性T細胞(※1)の疲弊(※2)が関与していることを同定
◆新規Toll様受容体7(TLR7)(※3)作動薬SA-5が免疫賦活により抗ウイルス効果を発揮することを証明
【概 要】
大阪大学大学院医学系研究科の小玉尚宏助教、竹原徹郎教授(消化器内科学)、大阪大学医学部附属病院未来医療開発部の滋野聡医員、国立国際医療研究センターの考藤達哉肝炎・免疫研究センター長らの研究グループは、B型肝炎ウイルス(HBV)が持続感染している状態における免疫細胞の疲弊状態をマウスで再現させることに成功し、新規Toll様受容体7(TLR7)作動薬SA-5が免疫賦活により、抗ウイルス効果を発揮することを示した(図1)。
B型肝炎ウイルスは、慢性肝炎や肝硬変、そして肝がんを引き起こす世界的な感染症であり、現在までに体内からのウイルス排除を高率に達成できる治療法は存在していない。B型肝炎の慢性化にはウイルスによる免疫のかく乱が関与していると考えられているが、免疫動態を模倣した動物モデルが極めて少なく、未だ不明な点が多く残されている。
今回研究グループは、HBVが持続感染し、慢性肝炎による免疫動態を観察できるマウスモデルの作成に成功。このモデルを用いた解析から、細胞傷害性T細胞の機能低下(=疲弊)がB型肝炎の慢性化と関係していることを同定した。またこのマウスでは、B型肝炎の治療薬であるⅠ型インターフェロン(※4)の投与により、免疫系の活性化や体内のウイルス減少効果が認められ、免疫を標的とした創薬評価にもこのモデルが有用であると考えられた。そこで、大日本住友製薬株式会社(現 住友ファーマ株式会社)と国立国際医療研究センターが共同研究を行っている新規Toll 様受容体7(TLR7)作動薬SA-5の効果を検証した結果、インターフェロンよりもさらに強力な免疫賦活が誘導され、ウイルス減少効果も認められた。以上から、SA-5がB型肝炎に対するウイルス排除を目指した新たな治療薬になる可能性が示された。
本研究成果は、米国科学誌『Cellular and Molecular Gastroenterology and Hepatology』に、9月28日(土)にオンライン公開された。
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