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6Gにおけるサブテラヘルツ帯の超高速無線を実現する小型無線デバイス ~InP集積IC技術により300GHz帯において世界最高の160Gbpsデータ伝送に成功~

Digital PR Platform / 2024年10月28日 15時7分

 これらの課題解決のため、今回FE構成要素の1つの集積回路(IC)への集積(集積化)に取り組みました。集積化により1モジュールでFEが実現できると①が解消され、モジュール間の接続部がなくなることで、②の解決にも繋がります。
 FEの集積化を行うには、ミキサで生じる不要波であるLOリーク※3が大きな課題となります。LOリークは、ミキサと一緒に集積される他の回路動作に悪影響を及ぼし、FEが伝送する信号の品質を劣化させるため、除去する必要があります。バラック形態では、LOリークを除去可能なフィルタを準備することによりこの問題を解決できますが、1つの集積回路内部でLOリークを除去することがサブテラヘルツ帯では困難でした。そこで、今回、サブテラヘルツ帯においても、集積回路内部でLOリークを除去可能な差動構成※4のFEを検討しました(図3)。
 TXには、ミキサ、ミキサ駆動のためのLO用電力増幅器(LO PA)、ミキサで発生させた300GHz帯信号(RF信号)を増幅するためのRF用電力増幅器(RF PA)が要素回路として集積されています。これらの要素回路はすべて差動構成となっています。


[画像3]https://digitalpr.jp/simg/2341/97764/700_350_20241028142914671f212a5909e.png


図3:今回提案した300GHz帯FEの回路構成(TXの場合)

 差動構成のFEにおいては、ミキサ後段でLOリークを逆位相で干渉させることでLOリークを除去します。そのためには、ミキサを完全差動LO 信号(振幅が等しく、位相が180°異なる2 つのLO信号)で駆動することが必要になります。完全差動LO 信号を生成するためには、差動信号発生回路であるバラン※5 に加え、差動増幅器が必要となります。差動増幅器には、バランから出力される差動信号に含まれる振幅の誤差、位相の180°からのずれを補正する機能(同相除去機能※6)が要求されます。NTT 独自の同相除去回路(参考文献3)を、LO PA の各増幅段に適用することで、LO PAによる完全差動LO 信号生成に成功しました。さらに、LO 位相反転回路(LOPI)を組み合わせることで、ミキサ後段でLO リークが除去される構成をとっています。これらの工夫により、従来構成(シングルエンド構成)に比べ、LO リークを1/250 以下と大幅に抑えることができ、FE のワンチップ集積化に成功しました(図4)。FE を、300GHz 帯の導波管結合器(リッジカプラ)を用いた独自の実装技術により金属パッケージに実装し、モジュール化を行いました。ワンチップ集積化の結果、15cm から2.8cm への大幅なFE の小型化も実現されました(図5)。

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