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ピーター・グリーナウェイが語る 映画監督としての仕事、マイケル・ナイマンとのコラボレーション

映画.com / 2024年3月2日 10時0分

 一般的な映画の劇伴は出来がよいものは少なく、音楽的というより、クリシェ的で商業的すぎるものが多い。自分はフィリップ・グラスのような実験的な音楽を作る人とコラボしたいのですが、彼らが作るような音楽に親しんでいないと、なかなか耳に入ってこないものです。商業的にはあまり世に出てこない音楽なので、うまくいかないことが多いのです。

 私にとっての偉大な音楽制作者のヒーローはジョン・ケージです。とても実験的な音楽を作ります。生前の彼は、必ずしも音楽についてではなく、哲学に関する多くのことで非常に有名でした。チャイコフスキーやワーグナーは政治的な理由だけでなく、よく聴かれるので残り続けますが、商業的な音楽と比べて、ジョン・ケージの作品を広く聴いてもらうことは難しいので、彼の仕事が忘れられてしまうことを憂いています。

 私がマイケル・ナイマンとかかわれたのは幸運でした。アメリカでミニマリズムと呼ばれる音楽運動があり―もちろんミニマリズムは絵画や彫刻でも使われる言葉ですが―彼は、音楽制作者として初めてミニマリズムという言葉を発明した人だと思います。今になって、そう呼ばれるのはよしとしないかもしれませんが。どこか皮肉がある音楽だったと思います。既にあるフォルムを新しいものに入れ替えるようなやり方です。たとえば、古いボトルに新しいワインを入れるような。

 それはとても生き生きとしていて、とても現代的でした。バイオリンや弦楽器などのクラシック楽器はもちろん、シンセサイザーも使っていましたが、新しい形で表現する音楽です。アイロニーがあるということは自分のことをシリアスに捉えすぎないこと。人間という哀れな存在ということを脳裏に持ちながら作品制作をする、彼と私はそのやり方が共通していて、良い仕事ができたと思います。

 3月2日シアターからシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開。

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