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ピーター・グリーナウェイが語る 映画監督としての仕事、マイケル・ナイマンとのコラボレーション

映画.com / 2024年3月2日 10時0分

――あなたの作品ではグロテスクで忌み嫌われるモチーフも、魔術のように美しく表現されているのが特徴です。あなたにとっての芸術、美について教えてください。

 美しさは見る人の目にあるもの、その考え方は人それぞれです。例えば日本の文化、ヨーロッパの文化でそれぞれの基準、態度、信念があります。しかし、どんな文化も美しさとは欲望だと思うのです。私たちが何を感じようと、どんな文化を選ぼうと、美と結びつきたいという願望です。

 例えば、日本でしたら庭や桜、陶器や詩などからもたらされるかもしれません。そういったものから私がインスパイアされて作ったのが「ピーター・グリーナウェイの枕草子」(96)という映画です。清少納言の文章は抽象的で、感覚的で、断片的でした。

 彼女は次のようなものに魅了されます。赤いもの、緑のもの、丸いもの、柔らかいもの……などと表現します。それはヨーロッパの映画では、このように表現するのが非常に難しいので、私は映画を作ることにしたのです。私は彼女の著作を翻訳で読んでいるので、日本人の皆さんに笑われてしまうかもしれませんが、私にとって彼女の言語はとても力強いものです。非常に儚く、あるいは無意識のうちに、映画に発展することができました。

 私はプロットやストーリーに興味はありませんが、映画をまとめる構造が必要であることは理解しています。映画的な自殺をしたいわけではなく、自分でも見られる映画を作りたいと思っています。でも、限界を押し進めて、映画はもっと実験的でもよいと思うのです。映画制作には高額な製作費がかかると思われますが、私が考える最高の映画のいくつかは、それほど予算はかかっていないと思います。「第七の封印」や「蜘蛛巣城」などのように美しさや欲望と関連のある世界に自分は生きていたいのです。

――今回はマイケル・ナイマンが音楽を担当した作品が上映されます。あなたが考える映画音楽について、ナイマンとの仕事についても教えてください。

 私はどちらかというと文学的な教育を受け、たくさん本を読み、文章を書いてきました。その後美術学校に行って、絵の描き方を学びました。ですから文学の芸術、視覚的芸術もカバーしていますが、音楽の教育は全く受けていませんでした。残念ながら、両親は私にバイオリンもピアノも習わせることはなかったのです。

 ですので、脚本を書くことも絵を描くこともできますが、音楽だけは作れないので、映画においては音楽制作者、ミュージックメイカーとのコラボレーションが必要です。

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