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【「MONTEREY POP モンタレー・ポップ」評論】世界初のロックフェスを“特等席”から収めた記念碑的ドキュメンタリー。レストア版でより生々しい鑑賞体験に

映画.com / 2024年3月24日 10時0分

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「MONTEREY POP モンタレー・ポップ」は公開中 (C)2002 THE MONTEREY INTERNATIONAL POP FESTIVAL FOUNDATION, INC., AND PENNEBAKER HEGEDUS FILMS, INC. (C)2017 JANUS FILMS

 洋楽ファンに伝説的なロックフェスティバルを尋ねたら、まず返ってくるのが1969年にニューヨーク郊外で開催されたウッドストック・フェスティバル(ドキュメンタリー映画は1970年の「ウッドストック 愛と平和と音楽の3日間」)。だがそれより2年早い1967年、世界初となるロックフェスがカリフォルニア州モンタレーで開催されていた。その模様を記録した「MONTEREY POP モンタレー・ポップ」は翌68年に米国で公開され、同イベントの50周年にあたる2017年に4Kレストア版がリリース。日本で2024年3月15日から全国順次劇場公開されるのはこのバージョンだ。

 今でこそロックレジェンドとしての評価が定着しているジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリン、オーティス・レディングも、モンタレーでのパフォーマンスが世界的人気を博する契機になった。ほかにも、同フェスの仕掛け人となったママス&パパスや、サイモン&ガーファンクル、ザ・フー、ジェファーソン・エアプレインら豪華な面々が登場。そんな彼らの熱唱と演奏が、舞台下から仰ぎ見るアップ、壇上からの横顔やななめ後ろの姿、さらにステージ全景といったショットに収められ、まさに特等席から目撃するような生々しさだ。

 監督は、ボブ・ディランの「ドント・ルック・バック」(1967)、デヴィッド・ボウイの「ジギー・スターダスト」(1973)といった音楽ドキュメンタリーで知られるドン・アラン・ペネベイカー。1960年代に開発された軽量の手持ちカメラや同期サウンドといった機材を活用するドキュメンタリーの新潮流「ダイレクト・シネマ」の旗手となったイノベーターであり、本作でもアーティストの歌唱とパフォーマンス、オーディエンスが聴き入る表情までぐいぐいと迫っていく映像が特徴的だ。1960年代にはまだ音楽PVが確立しておらずMTVもなかったことを思えば、ミュージシャンらのライブ演奏を間近でとらえた映像のインパクトが絶大だったことは想像に難くない。

 音声面では5.1chサラウンドでリマスターが施されており、音響設備のよい映画館で鑑賞するならより臨場感のあるサウンドを楽しめるはず。各楽器やコーラスパートの分離も上々で、ママス&パパスの「夢のカリフォルニア」やサイモン&ガーファンクルの「59番街橋の歌(フィーリン・グルーヴィー)」などでは精妙なコーラスワークを堪能できる。

 近年の関連作としては、「ローレル・キャニオン 夢のウェストコースト・ロック」(2022)、「リバイバル69 伝説のロックフェス」(2023)などが挙げられる。これらと併せて鑑賞するなら、1960年代から70年代にかけての英米音楽シーンをより多面的に追体験することができるだろう。

(高森郁哉)

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