【後編】「ラヴィット!」で話題“ヨギソダイブの通訳さん”は何者か? 取材したら波乱万丈な人生で面白かった話
映画.com / 2024年3月26日 8時5分
そこから、通訳の仕事で知り合った方々が手助けしてくれて、2014年に文化庁の海外研修(新進芸術家海外研究制度)に女優として、推薦で選ばれたんです。650人ぐらい候補がいるなかで、「俳優にはもう枠がない」という状況だったのに、私が選ばれたんです。韓国の国立劇団へ、1年間留学することができました。
――「全部の仕事を楽しもう」としたら、まったく別の世界が見えてきた、とても興味深い話です。そして2021年には「母 My Mother」という1人舞台を、みょんふぁあさん企画・主演、「焼肉ドラゴン」「パラサイト」の鄭義信さん作・演出で上演しています。
「母 My Mother」は韓国舞踊をやっていた子どもの頃から夢だった、戦時中に活躍した崔承喜という舞踏家の物語で、これがもうとても好評でした。作・演出の鄭さんとは、映画「血と骨」(鄭は同作で共同脚本)に出演したときに、お名刺交換ぐらいはしていたんですけど、私は演劇では女優としては全然呼んでもらえないくらいすごい方。「まだまだだよ」という感じだったのが、やっぱり通訳ですごく仲良くなって。
本当に私の今の自分があるのは、やっぱり通訳やほかの仕事があったから。「私は女優だから」というこだわりは捨てて、「全部楽しもう」と思ったら、逆に女優の道がバーッと太くなったんです。
――うわー、面白いですねそれは……! つながっているんですね、ほかの仕事がすべて。
そうです。登山に例えると、私は「行きたい山、あっちなのにな。この山は違うのに」と思いながら登っていたんです。どの仕事もすごく楽しいし大好きだけど、どうしても私、あっち行きたいんだけど……と。でも、一生懸命上がると、行きたかった山は尾根伝いでつながっていたんです。
――すごくいいお話です。「自分が本当にやりたい仕事じゃないことをやっていて、モヤモヤしている人」っているじゃないですか。みょんふぁさんの「行きたい山は尾根でつながっている」というお話は、そういった人たちにすごく勇気を与えると思います。
もちろん全部がスムーズだったわけではなく、浮き沈みはありましたけど、重要なことは、ただ「全部を楽しもう」と“気持ちを変えただけ”なんですよ。やっている仕事自体は何にも変わらず、ただ気の持ちようを変えただけで、本当に大きく景色が変わりました。そして楽しむことを続けていたら、「ラヴィット!」のような奇跡が起きたんです。
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