1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 映画

片渕須直監督、「リンダはチキンがたべたい!」は「僕たちを自由にしてくれる映画」と独創性を評価 来日した監督陣と対談

映画.com / 2024年4月13日 11時0分

 一目で見て誰かがわかるよう、1人1色と設定しました。実は、それは絵をきちんと描き込む必要をなくすところからの発想なのです。アニメーターにも、キャラクターの絵を正確に書く必要はない、と指示しました。実写の俳優もシーンによって全然違う顔をしたり、出演する作品によってあの同じ俳優だとは思えないような顔をします。しかし、アニメーションはいつも同じキャラクターが、同じような顔に固定されてしまう。ですから、この作品ではそんな制約を取り払ってみました。また、群衆シーンになった時に、様々な色があると楽しく、カーニバルのような、紙吹雪を飛ばすような明るい雰囲気も出せると思ったのです。

片渕:お話も完全にリアルなことではなく、こうあってほしいという願望が物語によって実現される作品ですね。なのに、絵も描きこみは少ないけれど、見終わった時に確実にその人物が存在した印象を覚えました。それは、キアラが声の録り方も工夫したのだと思うし、そこにセバスチャンのアニメーションで、リアルにそこにいるような人の佇まいや動きを作り上げていたと思います。それは、最初の役割を超えて、複雑に絡まり合っていって、それぞれの人物たちが1枚の絵だけで表現できないものになっていったのではないでしょうか。

キアラ:今作は子どもに向けた、子どもについての映画ですが、都市を舞台する中で政治的な要素を入れました。デモを語ると、どうしても子どもたちが不在のまま語られることが多いので、ちゃんとそこに子どもも参加していることを表す、そのこと自体が政治的な行為だと思っています。

セバスチャン:実は、フランスでも子どもと政治が繋がる作品はそれほど多くありません。ただ偶然にもこの映画を作った同じ年に、別のフランス映画のアニメーションの新作で、工場がストをしている描写がありました。それを見ると、やはりフランス的だと思いました(笑)。

キアラ:フランス映画ではありつつも、私はイタリア人なので、イタリア的な要素もある作品だと思います。私は今フランスに住んでおり、日本の皆さんよりはフランスを外国とは思わないくらい、両国は近い関係ではありますが、伝統は違います。イタリアではデモなど政治的な話をする時は、アイロニーを込めて話されることが多いですが、やはりフランスでは、より真面目に捉えられていると感じます。また、イタリア人の方が、自虐的なギャグを言う傾向がフランスより高いかもしれません。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください