1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 映画

片渕須直監督、「リンダはチキンがたべたい!」は「僕たちを自由にしてくれる映画」と独創性を評価 来日した監督陣と対談

映画.com / 2024年4月13日 11時0分

――アニメーションのみならず、音や音楽へのこだわりを感じました。

キアラ:音響監督のエルワン・カルザネとの仕事が決定的でした。彼が、この映画のサウンドのコンセプト、全体像を作ってくれました。レオス・カラックス監督の「アネット」の音響にもかかわっていて、彼から作曲家のクレモン・デュコルを紹介されました。クレモンはニーノ・ロータやミシェル・ルグランのように、作曲のみならず作品の色を作ってくれる、そういう仕事をしてくれました。映画の背景画はアニメーターではなく、画家にお願いしたことも良い結果をもたらしたと思います。

▼国際共同制作など、アニメーション人材の国際交流について

――本作はフランスのスタジオで、イタリア人アニメーターとともに作られた作品ということですが、日本のアニメーションも国際的な協業が進んでいる印象を受けます。

片渕:日本のアニメーション業界でもさまざまな国のスタッフを交えての仕事が盛んになっています。実は、僕も2019年の11月にフランスに行ったとき、今手掛けている新作をフランスの若い人たちと一緒にやりましょうと話していたのですが、コロナの感染拡大のためにできなくなってしまいました。フランスの方々と一緒に作品を作る機会を失ってしまったのは残念でした。

 フランスにはゴブランという国立のアニメーション学校があって、世界各国からの学生が集まっています。そこで、何人かのグループにわかれて作品を作っているんですが、コロナ禍では、学生たちはそれぞれの国に帰ってリモートで制作しました。リモートを使うのなら、完成作の講評も、フランスの講師だけではなく、外国の人にもしてもらおうとなって、僕も講評したことがあります。国境を越えていろんなことが近くなっています。だからこそ、この「リンダはチキンがたべたい!」が日本でも公開されるのでしょう。こういった世界のアニメーションが見られる機会が増えるといいなと思っています。

 ひとつ残念なことは、ゴブランで日本人の学生に出会えないことです。日本人は若い人も年を取った人も、世界のいろんなものに興味を持つべきだと思います。そうやって視野を広げることが、その人を自由にすると思うんです。「リンダはチキンがたべたい!」は、僕たちを自由にしてくれる映画です。日本のお客さんにもこんな面白いものがあるんだって、知ってほしいですね。

――片渕監督との友情を通して、アニメーション監督として共鳴する部分はどのようなことですか?

セバスチャン:「この世界の片隅に」をはじめ、片渕監督の作品を何度も見ていますが、自分と共通点を感じるのは、片渕監督もキャラクターを通して、世界をありのままに描くことを大事にされているところです。リアルではない表現でも、真実を伝えることができると思います。私たちは、アニメーションや実写と分けて考えないのです。おそらく片渕さんもそうなのではないでしょうか。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください