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【ネタバレ解説】「SHOGUN 将軍」真田広之のこだわりに圧倒される10の裏話 なぜ本作が描く日本は“本物”なのか?

映画.com / 2024年4月19日 15時0分

 本作の配信を前に、映画.comの取材に応じた真田は、ハリウッド作品における日本描写の違和感について、「悔しさ、それにもどかしさも感じていました」と明かし、「そんな経験がバネになって、『間違いを払拭したい』『いずれは正したい』という思いが、今回は自分のエネルギー源となり、全てを注ぎ込むことができたと自負しています」と強い自信を示す。常に未来を、映画界の“あるべき姿”を見据えて行動するその姿は、劇中の虎永と重なるものがある。

【2】わずか2話のために、長編映画1本分の巨大セットを建設

 撮影が行われたのは、カナダ・バンクーバー。いまも豊かな自然をたたえるこの地こそが、戦国時代の日本の原風景をとらえるのに最適な場所だった。セットは2カ所の広大な屋外バックロット(オープンセット)、山間部の遠隔地(オープンセット)、ふたつの巨大なスタジオ施設に分散された。スタジオ内に建設されたのは、大阪城の内部、庭園、カトリック宣教師の拠点、エラスムス号の一部など。ブルーバックを背景にCGを活用する撮影も多く行われた。「結局、最初の2エピソードのために、撮影日数が80~100日くらいの大規模な長編映画に匹敵する分量のセットを建設した」と、プロダクションデザイナーのヘレン・ジャービスは振り返る。

 また当時は、部屋のなかの照明は最小限だった。撮影する側としては、照明を足したいところだが、ジャービスは時代に忠実であることにこだわった。障子を開け、外から自然光を入れ、必要な明るさに調整した。部屋のなかから見える庭園や景観は、本作の重要な特徴のひとつとして、美術デザインの多くに織り込まれている。

【3】複製された瓦は約1万枚! 鳥たちが瓦をつついてしまう理由は?

 舞台となる戦国時代は、まだ写真が存在しておらず、絵画、美術品、骨董品などを頼りに、城、部屋、村、庭園などのデザインに関して、研究を重ねる必要があった。ありふれた要素でさえ、忠実性のために特別な仕様が求められた。

 例えば、屋根瓦に関しては、特徴のある側面や、当時使われていたと思われる粘土の色合いを再現するためには、「真空成形や型は使えない」と、デザインチームは判断。3カ月かけて制作した屋根瓦を別のチームが、5種類の塗料に浸す作業を繰り返し、リアルな色合いに近づけた。複製された瓦の枚数は、1万枚を超えた。

 瓦の素材となった発泡体は環境に配慮した素材から作られ、鳥が好きなコーンスターチを含んでいた。美術スタッフは、丹念なディテールを鳥につつかれてしまうたびに、修理しなければならなかった。

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