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【ネタバレ解説】「SHOGUN 将軍」真田広之のこだわりに圧倒される10の裏話 なぜ本作が描く日本は“本物”なのか?

映画.com / 2024年4月19日 15時0分

 また日本から、高崎光代をはじめとする時代劇のベテラン勢が撮影に参加。カナダのヘアアーティストたちに、日本の伝統的スタイリング技術や、日本から持ち込まれた700個もの鬘の管理方法を指導した。

【6】当時の化粧品の原料も研究 登場人物たちの社会的地位をメイクで再現

 本作に登場する数百人の村人、侍、大名、武家の女性、小姓、子どもたちがメイクアップチームの手にかかり、それぞれの役の社会的地位に基づいた外見(ルック)を施され、再現された。当時の日本では、外見で人物の階級を見分けることができたのだ。

 太陽など自然要素にさらされた村人や農民には、日焼けや風化した肌色のメイクが施された。一方、城内で暮らす上流階級の人物には、白い肌色、軽いメイクアップ、そして洗練され手入れの行き届いた印象を与えるメイクが施されている。メイクアップデザイナーのレベッカ・リーは、時代に忠実なメイクアップパレットにこだわり、上流階級の登場人物には白、黒、赤の3つの主要な色のみを使用した。白は肌の繊細な磁器のような色合い、黒は目、そして赤は唇に使われた。

 この時代に使用された化粧品の原料のほとんどは植物由来であり、赤はベニバナの花弁の抽出物が使われたと推測される。リーは、ベニバナの花弁から実際に得られる特定の色に、完全にマッチするものを見つけることができなかった。そこで、作品にふさわしい独自の赤色を開発し、城内の女性のメイクに使用している。

【7】スタントコーディネーターを支えた真田 そしていまは亡き“先生”の存在

 スタントコーディネーターを務めたのは、真田が出演した「ラスト サムライ」にも携わったラウロ・チャートランド。「真田さんは、アクションシーンの撮影においても、不可欠な存在だった。オフの日もリハーサルに出席し、撮影を終えた後もセットに残り、小さい動きの微調整まで丁寧にアドバイスをしてくれた。彼は威圧的ではなく、押しつけることもなく、ただ非常に知識が豊富だ」と振り返る。

 そんなチャートランドにとって、スタントと振り付けの最も重要なルールは、「アクションが単なるアクションであってはならず、物語に適合しなければならない」ということ。殺陣はもちろん、燃える弓矢、大規模な合戦、荒れ狂う海の嵐や自然災害に至るまで、本作におけるアクションは多岐に渡る。

 「私は空手、武術、剣術をはじめ、日本武道に25年間の経験があるが、先生にはまだまだ追いつけていない」とチャートランド。その“先生”とは、世界的に有名な日本の武道家・出村文男氏だ。「先生に、本作の撮影開始前に、ロサンゼルスからバンクーバーに来てもらって、俳優とエキストラのために開催したトレーニングを監修してもらった」という。残念ながら、出村氏は23年4月、84歳でこの世を去った。

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