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【インタビュー】田中泯、俳優業は「全て偶然」 世界配信「フクロウと呼ばれた男」では、暗躍する大物フィクサー役

映画.com / 2024年4月25日 14時0分

 格差なんか、その典型ですね。それも資本というものに、ある種の価値観を譲ってしまったというか。お金がない人たちに、そのしわ寄せが行ってしまうだとか、仕組みそのものに問題があるのかもしれないしね。政治家が変わったところで、それを変えられるのかなという問題もあるし。答えは出ないですね。

――その上で、大神龍太郎という人物に、どのように命を吹き込んだのか、教えてください。

 それはどんな役もそうなんですけど、「この人はどんな日常を送っているんだろう?」とか、それと人との接し方とかね。そういった部分に、どんな特徴があるんだろうか。その人物を僕なりに引き寄せていくための工夫というのは、けっこうしているんですね。

 役づくりという言葉が当てはまるのかどうか分からないんだけど(笑)、空想することが好きですし、「じゃあ、どんな格好して歩いているのかな?」とか、背中が曲がってくる年齢に差し掛かった人だから、「じゃあ、背中を伸ばすのはどんなタイミングなのかな?」とか。そんなことを自然と考えるようになるんですね。すると、その人がしゃべる内容だったり、クセみたいなものも思いついたり。それからしゃべる癖だとか。そんなことも日常的に考えるようになるんですよね。面白い作業ですよ。

●「たそがれ清兵衛」で俳優デビュー 当時は「これで演技はやめよう」とも

――長年、ダンサー、舞踊家としてご活躍されて、現在では声優・朗読も含めると、映画だけでも「たそがれ清兵衛」(2002)を皮切りに、出演作品の数は優に40を超えていらっしゃいます。

 声をかけていただき、じゃあ試してみますと「たそがれ清兵衛」に出演したのが、僕が57歳の時ですから。若い頃から、俳優さんになりたいと思って、生きてきたわけじゃなくて。無我夢中で踊りをやってきて、57歳にもなったときに、映画に出てみないかと言われて始めた仕事ですから。「俳優というのは、どんな役でもこなせて初めて俳優だ」と言われたこともあったけど、僕からしてみたら、もうそんなのとんでもない、とんでもない(笑)。昔の人にしてみれば、晩年といえる年齢で、俳優の“ひよっこ”になったわけで、そんなこと言ってられないでしょ。だから、自分はどんな役でも演じられるとは思っていません。

――私も含めて、「田中泯さんが出演を決めた作品だから、きっと面白いはずだ」と期待するファンはたくさんいます。ご自身が、出演作を選ぶ際の基準や、出演作に対して期待することを教えてください。

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