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神山健治監督、フィリッパ・ボウエンが語る長編アニメ「ロード・オブ・ザ・リング」企画の経緯、ヘルム王の娘が主人公になった理由

映画.com / 2024年6月12日 14時0分

 この企画、僕が面白いと思ったのは、「二つの塔」から183年前の世界で人間が主人公であるという点、そのエピソード自体が面白かったこと、そして物語がオリジナルというところでした。追補版にはわずか一行だけ「3人のきょうだいがいて、その末っ子は娘だ」と書かれていて、その娘の名前は記されてない。あの時代は女性の名前が残ることはなかったからですよね。「二つの塔」でもセオデン王の姪であるエオウィンは活躍するとはいえ、剣をもつことすら禁じられていたのでこっそり闘っていたくらいですから。

 トールキンの原作で語られていなかった娘は、実はこんな活躍をしたんだよーーアニメにするにはそういうオリジナルの要素も入れたらどうだというアイデアがジェイソンとフィリッパから出ていました。フィリッパはそこをとても推していて、僕も企画を聞いていた段階で、そこに一番魅力を感じていました。ヘルム王はとても面白いキャラクターだけど、彼だけだと映画にならないのでヘラを加えています。僕も(LOTRでは)初めての女性のヒーローというのも面白いしアニメ的だと思ったので、それでやりましょうということになったんです。

【フィリッパ・ボウエン(製作・プロデューサー・脚本)】

――いつ頃からこの企画を考えていたのですか?そして何故、神山健治さんを監督に選ばれたのですか?

 「ホビット」3部作が終わったくらいのタイミングだと思います。その頃、では次はどうするという話をしていたとき、実写版でまたあの世界観を創り上げるというのは途方もないことに思え、さすがにもう一度、中つ国に行こうという気持ちにはならなかった。そんなときに誰かが「じゃあアニメーションというのは?」と言ったんです。それはとてもフレッシュな響きがあったし、凄く興味深いアプローチだと思いましたね。そもそも「指輪物語」の最初の映像作品はアニメーション(ラルフ・バクシの「指輪物語」(78年))だったわけですし、トールキンもおそらく、映像化するならアニメーションだろうと考えていたと思います。

 実際に「アニメ」というアイデアが動き出したのは、それからちょっと時間が経ってから。ワーナー・ブラザース・アニメーションのジェイソン(・チョウ)さんとサム(・レジスター)さんがやってきて「(LOTRの)アニメ化はどうですか?」と言われたときに、カチっとハマったんです。私たちはもともとワーナーのアニメーションチームとパートナーシップを組んで、素晴らしい作品を作ってきましたから。

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