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柴咲コウ、黒沢清監督との協働を振り返る “徹底的復讐”の現場に渦巻いた不安と期待【「蛇の道」インタビュー】

映画.com / 2024年6月15日 14時0分

 ただ、ずばり言ってしまうと僕にはわからないんです。自分のことで精いっぱいで、客観的に「人からどう見えるのか」まで考えが及ばないといいますか――撮影監督にも美術部にも、俳優部にもそれぞれプランがあり、組み合わさったうえで1本の映画が出来上がるわけですから、当然ながら僕が0から100まで作っているわけではありません。「こうなった」或いは「こうなってしまった」という感覚でしょうか。

 ――柴咲さんは黒沢組に参加されて、どういった部分が特徴的だと感じられましたか?

 柴咲:監督がとにかく謙虚で、見習わなければいけないと思いました。

 私は、みんなが困っていたり迷ったりしていると感じたら「払拭して進んだ方がいいから明確にしよう」と言ってしまうようなちょっと鬱陶しいタイプです。でも今回は、みんな撮りたいものは一致していてそのうえで「こういうことではないか」と探っていくような現場でした。カメラをセッティングしてフランスの俳優陣が動いて、そこで私も感じたものを出しながら、何かが生まれていく空間でした。

 監督にも様々な方がいらっしゃって、ワンマンで引っ張っていきたい方もいれば全てを緻密に構築したい方もいらっしゃいます。そんな中で黒沢さんはそれぞれの部の方を信頼して委ねているように感じました。俳優部として私に委ねて下さっているならば、色々と質問をしたり答えをもらおうとせず、現場で返していくしかないという考えに変化してゆきました。

●マチュー・アマルリックはノリノリだった 本作に潜む“可笑しさ”について

 ――マチュー・アマルリックさん扮するティボーが監禁されている姿は残酷なのに妙に笑えてしまうところもありましたが、あのようなシーンもある種の自主性に任せた結果でしょうか。

 黒沢:マチューさんはノリノリでしたね。下手すると暴走しちゃうので、「ちょっとそこまではやらなくて大丈夫です」と伝えるような感じでした(笑)。監督としても成功されていて、他の人の作品にはあまり出ないようなとても偉い方ですが、本当に楽しそうに「水をかけられるのが大好き」といった感じで生き生きと演じて下さいました。そういったものは、彼が本来持っているキャラクターから来るものだと思います。

 シーン全体として、「笑ってください」と思って作ったわけではないのですが、この映画に出てくる人たちがやっていることは“日常”や“普通”からはかけ離れた特殊なものだと思います。見ようによっては馬鹿げているともいえますよね。いちいち寝袋を引っ張っていき、同じようにテレビ画面を見せて、まるで儀式のように何度も繰り返すわけですから。小夜子がある目的を達成するために仕掛けたものといえばそうなのですが、ある種奇怪な行動に皆が駆り立てられていく様子は、可笑しくも映るとは感じます。

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