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「普遍的な愛は家族間にのみあるわけではない」アレクサンダー・ペイン監督「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」インタビュー

映画.com / 2024年6月22日 9時0分

「普遍的な愛は家族間にのみあるわけではない」アレクサンダー・ペイン監督「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」インタビュー

Seacia Pavao / (C) 2023 FOCUS FEATURES LLC.

 名匠アレクサンダー・ペイン監督が、「サイドウェイ」でもタッグを組んだポール・ジアマッティを主演に迎えて描いたドラマ「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」が公開された。

 第96回アカデミー賞では作品賞、脚本賞、主演男優賞、助演女優賞、編集賞の5部門にノミネートされ、ダバイン・ジョイ・ランドルフが助演女優賞を受賞した本作は、1970年代のマサチューセッツ州にある全寮制の寄宿学校を舞台に、生真面目で皮肉屋、家族のいない教師ポールと、母親が再婚したために休暇の間も寄宿舎に居残ることになった学生アンガス、自分の息子をベトナム戦争で亡くした寄宿舎の食堂の料理長メアリーの3人が、2週間のクリスマス休暇を過ごすことになる、という物語。アレクサンダー・ペイン監督のインタビューを映画.comが入手した。

――多くの人が家族と過ごすクリスマスに3人だけが学校の寄宿舎に取り残されるというこの物語は、どのようにして生まれたのでしょうか?

 12~13年ぐらい前、マルセル・パニョル監督の「Merlusse(原題)」(1935)というフランス映画を観て、それがずっと頭から離れませんでした。この映画と話は違うけど基本的な設定は似ていて、映画にするには面白いなと思ったんです。アイデアとして書き留めておいたんですが、自分にはいわゆるエリートの寄宿学校のような場所で過ごした実体験がなくて、リサーチも必要なこともあってそのままになっていました。

 そうしたら、5年ぐらい前にデビッド・ヘミングソンが書いたTV用のパイロット版の脚本が送られてきたんです。話してみると彼も「Merlusse」のファンであることが分かり、そのことはふたりにとって大きな贈り物でもありました。それで、「僕が出すアイデアを元に長編映画の脚本を書いてもらえませんか?」とお願いしたところから始まりました。

――1970年という時代を選んだ理由を教えてください。

 時代モノの映画を一度は作りたいと思っていました。今のアメリカには男子だけの全寮制の学校がなくて共学だけなんです。それもあって、デビッドと話す中で設定として時代モノになるだろうと一致していました。その上で、70年代というのは、政治や社会的な背景として興味深いものがあると思います。脚本を書く上でも、背景としてベトナム戦争というものがよいツールになるというのはありました。登場人物が徴兵されるという直接的な描写がなくても、映画が描く3人は戦争を含めてこの時代に起きていることの影響を受けるわけですから。

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