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タフにサバイブしていく沖縄人のウィット。写真家・石川真生さんの強さと愛を見つめた「オキナワより愛を込めて」砂入博史監督に聞く

映画.com / 2024年9月1日 21時0分

 琉球王国が日本に併合され、その後アメリカに統治され、そしてまた日本に……という沖縄で生まれ育った複雑なアイデンティティも、真生さんが写真を用いて思いを表現する原動力となった。そして、この映画でも語られる、アメリカと米軍の実体を自分の目で見たい、とその環境に自ら飛び込んだ実体験をその講義で語ったという。

 「当時、アメリカでは、ブラック・ライブズ・マター(略称:BLM)が盛んで、とにかく、アフリカ系アメリカ人ではない人たちが、黒人に対して言及をする時に、非常に配慮し、ものすごく言葉を選ばなければいけない緊張感が社会の中に広がっていました。真生さんの豪快な、偏見とも捉えられてしまうような発言は、アメリカ人には絶対できないんです。そういう発言もありながら、最後は1人1人の人間として理解していった、それがものすごくフレッシュに感じましたし、真生さんが沖縄から来ているからこそ、言えるという状況があり、アメリカの統治時代を知る女性でもある。そういうパワーの入り組んだところに立っている彼女のトークを記録したいと強く思い、講義が終わった途端に真生さんにドキュメンタリー制作の申し出をしました」

 石川さんから許諾を得るも、沖縄は高校時代の修学旅行で1度訪れたのみだったという砂入監督。撮影に3年かけ、毎年2週間から1カ月ほど滞在し、真生さんの記録を残した。「2017年は真生さんのガンの手術があり、ちょうど手術が終わった時に沖縄に行っても、2週間のうち1日しか会えなかった時もありました」と振り返る。

 既にニューヨークで真生さんの講義を聞いていたからこそ、このドキュメンタリーで敢えて何かを話してもらおうと誘導することはなく、また、真生さんからも、撮影にあたって何の制約も受けなかったという。

 「長回しをしてたら、真生さんが、ニューヨークでお話されたことにいろんなことを足して話してくださって。その話も、どこへ行くのかな……と思ったらまた帰ってきたり。足した部分に、女性の仕事の自由や権利の話、東京で開催した個展で、“売春婦が撮った売春婦”のように言われたなど、そんな話題も出てきて。もともとはニューヨークの講義同様、黒人兵たちとのかかわりをお話してもらう予定でしたが、そのほかにも僕が知らなかったことがたくさん出てきて、そのすべてが印象深かかったので、撮り続けました」

 映画では、真生さんがかつて働いてたバーを探し、真生さんの記憶から、当時の思い出が鮮明に語られる。「胡座や金武に行こうって言い出したのも、どっちか覚えてないぐらい、自然に発生するような感じでした。金武に行ったのは、撮影の終盤で、タコライス食べている場面も、お互いそれまでに撮ったものもよくわかっている状況でした」

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