1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 映画

タフにサバイブしていく沖縄人のウィット。写真家・石川真生さんの強さと愛を見つめた「オキナワより愛を込めて」砂入博史監督に聞く

映画.com / 2024年9月1日 21時0分

 現代美術家、写真家、映像作家として活動する砂入監督。広島県出身で、米国で美術教育を受け、現地で教鞭もとるアーティストだ。ドキュメンタリー映画を撮り始めた理由をこう語る。

 「アメリカに行こうと思ったのは、高校時代に 映画『スタンド・バイ・ミー』がすごく好きで、ああいう田舎町に憧れたんです。もちろん、広島生まれで、平和教育を受け、親族の被爆の話も当たり前にある環境で育ちましたが、実はアメリカでそういうことを一生懸命考えようと思ったわけではなくて。でも、ゾウの彫刻作品を作ろうとした時、最初は違う素材で作る予定だったのですが、美術館から被爆樹木を使うことを提案されて、すごく美しくできたんです。自然な、ゾウのような見た目になって、結果的にはこっちの方が良かったんだなと思ったり。こういうアイデアの移行や物事の変化があっても、アート作品は最後に作ったものを見せるだけなんです。一方で、ドキュメンタリーはそのプロセスまで映すことができる。そういった意味で映像は、いろんな葛藤や、小さくとも何か大事なことも残すことができる、そこが魅力だと思うのです」

 1945年、沖縄戦に原爆投下と太平洋戦争時にとりわけ大きな傷跡を残した都市に生まれたふたりが、アメリカを通して歴史を見つめ直す作品でもある。「真生さんには僕の話はほとんどしていません。僕は大学からアメリカのアート界に入って、そこはインテリでリベラルな人が多かったです。でも、コロナ禍に田舎に行ってトランプ支持者たちと話す機会がありました。もちろん、当時アメリカがあの選択をしなければ戦争は終わらなかった、という教育の文脈が大きいと思いますが、広島に対してはひどかったのではないかと僕が話すと、涙ながらに納得してくれたことがあって。きちんとお互いに話をしたら、理解しあえるんだなとわかりました」

 そして、同じアーティストとして真生さんをどのように見るのだろうか。「作家として、ここまで明快に意図を持って、沖縄を追い続けていることが素晴らしいです。真生さんは写真を撮り始めてから、さまざまなテーマで沖縄をいろんな視点から料理している。アーティストとして多才で、自分が経験することで理解していく、そういうやり方での作品作りが僕とは違うところ。例えば、伝統民謡に携わる方々を4年間ぐらい住み込みで撮影したり、その次は漁師をテーマにして、その時は実際に漁師の男性とお付き合いして、その方が経営する飲食店で働いて、そこに来る人々と交流していたそうです。真生さん自身が体をぶつけて、そこから見えてくるものを記録していく、そういう作家性ですね」

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください