今年の上海国際映画祭を振り返る 作家性の強い日本映画に反響、メジャー映画には危機感【アジア映画コラム】
映画.com / 2024年9月6日 9時0分
第94回アカデミー賞作品賞などを受賞した「コーダ あいのうた」と同じようなテーマを有していますが、非常に東アジア的な描き方となっており、中国の観客から「静かに泣ける映画」「穏やかな裏に、目に見えないパワフルさを感じている」などかなりの高評価となっています。ちなみに、中国での配給も決定。今後は中国での公開も期待されています。
まだまだ、上海国際映画祭における日本映画関連のエピソードが山ほどあります。
例えば、アジア新人賞20周年のイベントでは、2015年・上海国際映画祭において、監督作「0.5ミリ」がアジア新人賞で最優秀監督賞を受賞した安藤桃子監督が現地参加。20周年の特別賞品が授与され、「0.5ミリ」の上映イベントにも出席し、上映後に約200名の観客と交流しています。今年のアジア新人賞に入選を果たした、北京電影学院首席卒業の伊地知拓郎監督作「郷」も大きな話題に。映画祭でのイベントはもちろん、映画祭と並行して、ほかの上映イベントが開催され、非常に注目されている1本となっています。
近年、日中の映画交流はあまり順調に進んでいないように思えるので、今年の上海国際映画祭に参加してみると、改めて“映画祭の重要性”を強く感じました。「YOLO 百元の恋」のような奇跡的事例は、決して夢ではありません。日本と中国の映画業界の交流が、更に深まっていけば、さまざまな可能性があるはずです。
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