1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 映画

アーミル・カーン、映画製作における信念を明かす「不平等、不公平な構造――それに気付いた以上は語り、表現したい」【「花嫁はどこへ?」インタビュー】

映画.com / 2024年10月4日 11時0分

 彼女とはパートナーとして長い年月を一緒に過ごしてきただけでなく、何年にもわたりさまざまな仕事を共にしてきました。彼女の前作「ムンバイ・ダイアリーズ」(2011)はもう10年以上も前の作品ですが、それ以降も彼女はたくさんの物語を書いていたんです。ただ最近はどうも現状に満足できておらず、苦しんでいるということを知っていました。というのも、彼女は私によくそんな話をしてくれて、時には意見を求めてくれていたので。

 そんな中でこの脚本を発見し、監督をするならキランが適任だと感じました。その理由は、彼女はシーンの見せ方や登場人物の扱い方、そして映画自体との向き合い方などあらゆる点にとても誠実な監督だから。

 この物語では「ある花嫁が行方不明になり、また別の花嫁が間違った家に来てしまう」といったとても不条理でドラマチックな出来事が起こります。それをリアリティを持たせるよう誠実に描くことができれば、この物語には力が宿ると考えました。だからこそ本作をキランに託そうと思ったのです。彼女の監督としての誠実さは、この物語が放つメッセージを伝えることに大きく貢献していると思います。

●「不平等や不公平な構造に気付いた以上はそれについて語り、表現したい」

――大ヒットを果たしたカーンさん主演の「ダンガル きっと、つよくなる」(2016)も明確にフェミニズムの視点を感じさせる作品でしたが、その際にはキラン・ラオさんが製作に入っていますね。カーンさんがこのような男女の不平等など社会問題を提起する作品づくりに興味を持ったきっかけはあるのでしょうか?

 私はインド社会の中で、皆が直面しているあらゆる問題や課題を身近に感じながら育ってきました。おそらく子どもの頃から不公平な出来事が起きていることを目の当たりにしてきたことが、私に影響を与えてきたのだと思います。

 例えばインドは深刻な貧困問題を抱えていますが、その結果子どもが複数いる世帯では、すべてとは言わずともほとんどの親が男児を優先します。健康や食事、教育などあらゆる事柄で男児にお金をかけ、一方の女児には「あなたは結婚して夫の家に行くまで家族の世話や家事をしなさい」と役割を押し付ける。生まれた瞬間から性別による不平等が始まっているのです。

 そういった状況を見てきて育った影響もあり、不平等について考えざるを得ないのです。特定の誰かを糾弾したり断罪するつもりはありませんが、一人の人間として不平等や不公平な構造に気付いた以上はそれについて語り、表現したいと思うのです。そしてそれを観た人々が、そこから学び、心に愛を育んでくれることを願っています。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください