アーミル・カーン、映画製作における信念を明かす「不平等、不公平な構造――それに気付いた以上は語り、表現したい」【「花嫁はどこへ?」インタビュー】
映画.com / 2024年10月4日 11時0分
――プールのメンターとなる自立した女性、マンジュのキャラクターが素晴らしいですよね。
コンペで発掘したビプラブの脚本もとても気に入ったのですが、キランも私も内容に完全には満足しておらず、まだ手を加える必要があると考えました。なので我々は脚本家のスネーハー・デサイに参加してもらったのです。彼女は原案ではあまり焦点の当たらない、マンジュやマノハル警部補などのキャラクターの魅力を引き出して活躍させ、元の脚本で描いていたテーマをより効果的に展開させてくれました。
――マノハル警部補役で出演を検討していたと伺いましたが、最終的にラヴィ・キシャンさんが演じられていましたね。彼の演技は本当に魅力的でしたが、彼に役を振るまでにはどのようなプロセスがあったのでしょうか?
おっしゃる通り、脚本を読んで俳優としてマノハル警部補のキャラクターに惹かれた私は当初、彼を演じたいと考えていました。実際キランに演技を見てもらうために、スクリーンテスト(配役を決める際に、撮影された映像で判断する選考のこと)も行う段階まで進めていたんです。でも次第にキランも私も、この役を私がやるべきではないと考え始め、最終的に辞退することにしました。
その結果、ヒンディー語映画界で長年活躍する素晴らしい俳優のラヴィ・キシャンがマノハル警部補を演じることになりました。ラヴィが演じれば、観客はマノハル警部補がどういうキャラクターでどのような役回りか予測できなくなると考えたからです。おそらくこの映画を観た人は彼の変化に驚くことでしょう。
一方、名の知れたビッグスターと思われている私がマノハル警部補を演じると、観客は「あの役は最後に何かやるに違いない」と期待しますよね。だから観客に物語を予測させず、驚きを感じてもらうために、私はあの役を演じないという選択をしたのです。
●女性監督の活躍が目立つインド映画界の変化を「強く支持する」
――キラン・ラオ監督をはじめ、「ただ空高く舞え」(2020)のスダー・コーングラー監督や、「All We Imagine as Light」(2024)で本年のカンヌ国際映画祭のグランプリを獲得したパヤル・カパディア監督など、インドでは素晴らしい女性監督の活躍が目立ってきていますね。時代の変化を感じますが、この状況をどのようにご覧になられていますか?
これまでも私自身も複数の女性監督と仕事を共にしてきました。例えば「1947: Earth」(1998)のディーパ・メータ監督、「Talaash」(2012)のリーマ・カグティ監督、そしてもちろん「ムンバイ・ダイアリーズ」で監督と俳優として手を組んだキランなどです。さまざまな女性監督と仕事をしてきましたが、彼女たちは皆映画製作が大好きで、私に新しい視点をもたらしてくれました。
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