【世界の映画館めぐり】モロッコ、ベルトルッチやジャームッシュらを惹きつけたマジカルな港町タンジェ
映画.com / 2024年10月17日 21時0分
2000年代に劇場公開された映画では、マット・デイモン主演「ボーン・アルティメイタム」(2007)、ジム・ジャームッシュ監督「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」(2013)、サム・メンデス監督「007 スペクター」(2015)などがあり、クリストファー・ノーラン監督「インセプション」(2010)も、ケニアの設定でしたが一部タンジェでロケが行われたようです。クラシックですと、最近リバイバル上映されたダニエル・シュミット監督の「ヘカテ」(1983)もタンジェで撮影されていました。きっとこれらの作品以外にも、多くの映画の舞台になっていることでしょう。
書籍では、映画史家でもある四方田犬彦氏の紀行エッセイ「モロッコ流謫」が素晴らしく面白く、タンジェに住んでいた「シェルタリング・スカイ」の原作者であり、小説家、音楽家のポール・ボウルズをはじめ、ベルトルッチやジャームッシュ、なんと三島由紀夫の弟さんらも登場し、多くの芸術家たちを惹きつけるモロッコの魔法のような魅力が、四方田氏の実体験を通して歴史、文化、政治など様々な切り口から語られます。映画、文学、絵画、音楽、そして旅と人間を愛する方に、ぜひ手にとってほしい一冊です。
■満月の夜、タンジェに到着
筆者は9月18日の深夜、パリのオルリー空港からからタンジェのイブン・バットゥータ国際空港に到着しました。イブン・バットゥータは、タンジェ生まれのイスラム教徒の冒険家の名で、1300年代に、30年間をかけ北アフリカからなんと中国まで旅し「諸都市の新奇さと旅の驚異に関する観察者たちへの贈り物」という著書を残しているのだそう。飛行機もない遥か昔に実在した旅の大先輩が、どんな行程でどんな旅をしたのか興味が沸きますし、空港にそんな偉人の名を冠する街が、世界中の旅人を惹きつけるのもわかります。
入国審査を無事終え、タクシーに乗って滞在予定のタンジェの旧市街に到着しました。いつでも初めて訪れる土地には心躍るものですが、なんとこの夜は偶然にも満月。映画「シェルタリング・スカイ」のラスト近くで、タンジェのカフェの常連客役として出演している原作者のポール・ボウルズが、人生の行き先を見失った主人公のキットにこう語るシーンを思い出します。
「人は自分の死を予知できず、人生を尽きせぬ泉だと思う。だが、物事は数回起こるか起こらないか。自分の人生を左右したと思えるほど、大切な子供の頃の思い出も、あと何回心に思い浮かべるだろうか? せいぜい4、5回思い出すくらいだ。あと何回満月を眺めるか? せいぜい20回だろう。人は無限の機会があると思い込んでいる――」
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