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【世界の映画館めぐり】モロッコ、ベルトルッチやジャームッシュらを惹きつけたマジカルな港町タンジェ

映画.com / 2024年10月17日 21時0分

 ここではモロッコ系フランス人監督のOmar Mouldouiraによる映画「Un été à Boujad」(日本未公開)を観ました。料金は40ディルハム(約600円)。移民として長年フランスで働き、現地で結婚した妻と死別した父親にフランスの寄宿学校に入れられた主人公の13歳の少年が久々にモロッコに帰省。父の再婚相手と新たなきょうだいに出会い、また、長くフランスで暮らしてきた自分のアイデンティティとモロッコの生活との板挟みになり、反抗的になってしまう思春期の心を繊細に描いた良質なドラマでした。アラビア語作品、フランス語字幕での上映で、私のほか、地元の若い世代やフランス人が鑑賞していました。このほか、新作ハリウッド映画、フランスのアニメーション映画、また、今年6月に亡くなったジーナ・ローランズの特集上映もあり、アート映画ファンは毎週でも通いたくなってしまうラインナップでした。

■「シェルタリング・スカイ」でも使われたホテル・コンチネンタルに宿泊

 モロッコ屈指の観光地でもあるタンジェには、エル・ミンザなど世界のセレブリティが愛した高級ホテルから、一人旅でもお手頃なゲストハウスまで様々なタイプの宿が数多くあります。最終日にちょっと奮発し、「シェルタリング・スカイ」でも使われた1870年創業の老舗、ホテル・コンチネンタルに宿泊しました。主に公共部分に、ステンドグラスや眼が眩むほど美しいモザイク装飾が施され、館内を散策するだけでうっとりしてしまいます。ここはホテルとしてだけではなく、美術館として国の文化財にも指定されています。

 これまで来館した作家やミュージシャン、映画監督、俳優たちの写真がさりげなくフロントに飾られているのも、テンションが上がります。私が宿泊した部屋のベッドの真上に、フランシス・フォード・コッポラ監督来訪時の写真があり、就寝前に「メガロポリス」の成功を心の中で祈りました。クラシックホテルなので、エレベーターがないなど設備がかなりレトロなため、眺望なしであれば、東京都心のビジネスホテル程度の価格で泊まれる部屋もあります。港を眺められるテラスでの朝食が素晴らしく、映画ファンには是非ともおすすめしたい施設です。

 余談ですが、タンジェはかつてヒッピーの聖地だった歴史もあるからでしょうか、日本ではなかなか見つけられない超細粒のクスクスをお土産に購入したら、経由地の空港でドラッグと間違えられて開封され、荷物がクスクスまみれになるという惨事に見舞われました。こんな珍事も含めて忘れられない旅となりました。

 次回は【世界の映画館めぐり】番外編として、モロッコの砂漠の街のハリウッド「アトラスコーポレーションスタジオ」訪問をお送りします。

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