吉田大八×大九明子×入江悠、それぞれが抱く東京国際映画祭への思い
映画.com / 2024年10月22日 11時0分
第37回東京国際映画祭が、10月28日から11月6日にかけて東京・日比谷、有楽町、丸の内、銀座エリアで開催される。今年のコンペティション部門には110の国と地域から2023本の応募があった(昨年は1942本)が、選出された15本のうち日本映画は吉田大八監督の「敵」、大九明子監督の「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」、片山慎三監督の「雨の中の慾情」(台湾との合作)の3本が名を連ねた。また、Nippon Cinema Now部門では入江悠監督の特集も行われる。映画.comでは吉田、大九、入江の3監督に鼎(てい)談という形で映画祭への思いを語ってもらった。
――普段はそれぞれの現場で作品に向き合っているので、皆さんのような第一線で活躍する監督が一堂に会し、取材を受けるというだけで映画祭としての意義を感じるのですが、皆さんは面識があったのですか?
吉田:多分1回ずつ、お目にかかったことがあると思います。勝手に仲良くなった気になっていたのですが、その後二度と会うことがなく今日久しぶりに再会しました(笑)。
大九:大八さんは話しかけてくれるので、きっと皆さん、大八さんを通じて面識を持つんじゃないでしょうか。入江監督とは2年ほど前に授賞式でお目にかかりましたが、大八さんがいないとどちらもしゃべらないのでお辞儀だけはした記憶があります。
入江:映画祭の懇親会やパーティでお酒が入ると仲良くなれたりしますが、素面だと怖いですよね(笑)。それぞれの世界があるわけじゃないですか。俺はどう思われているんだろう? と勘繰っちゃって、なかなか映画の話もしにくいですよね。
吉田:僕は年を取った分、図々しくなっているから。もういいや、バカだと思われてもって(笑)。
■アラン・パーカー監督と出会った学生時代(吉田大八)
関わるようになって見方が変わった(大九明子)
場が和んだところで、話題は本題の映画祭について……。吉田監督は「紙の月」が第27回東京国際映画祭のコンペティション部門に選出され、最優秀女優賞(宮沢りえ)と観客賞を受賞。大九監督は「勝手にふるえてろ」が第30回のコンペティション部門で観客賞に輝いた。入江監督は第31回で当時あった日本映画スプラッシュ部門の審査員を務めるなど、関わりは深い。
――これまで、東京国際映画祭に抱いていた印象から聞かせてください。
吉田:僕が学生の頃に始まったんですよ。当時は渋谷が会場でね。そんなに頻繁に通っていたわけではないのですが、アラン・パーカー監督が映画祭で来日するというので、「ザ・コミットメンツ」を見ようと思って行ったら、チケットが完売していて入れなかったんです。それで街を歩いていたら、アラン・パーカー監督がいたので後を付いて行ったら、あるビルに入っていったから上がっていったら、そこで仁王立ちして待っていて(笑)。怒られるのかなと思ったら、すごく気さくに話してくれた。映画館へ行っただけで会えるのか、思ったよりも距離が近いな……と思った印象が今も強く残っているんです。
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