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役所広司×内野聖陽が語り合う“表現者”の葛藤と欲望――滝沢馬琴&葛飾北斎役で辿り着いたもの【「八犬伝」インタビュー】

映画.com / 2024年10月26日 11時0分

 役所:いやぁ、内野という俳優を語るというのは……初めて見たのは映画の「(ハル)」(森田芳光監督/1996年)だったね。

 内野:ホントですか? ほとんどデビューした頃ですよ。

 役所:どこの俳優さんなんだろう?と思ったら文学座でね。それからは、映像も演劇もなんでもやっていて…僕は舞台をやる人にコンプレックスがあるんですよ。

 内野:そうなんですか?

 役所:「やらなきゃいけない」と思いつつ、ずっとやれていないんでね。こういう過酷な仕事をコンスタントにずっとやっている人はすごい力があるなと思っています。僕も演劇という、膨大なワンカットをやれるようになる訓練をしなきゃいけないと思っているんですけど、ずっと遠ざかっていると、内野さんみたいな人と2人で仕事をするとなった時、怖いですね(笑)。「この人、2時間をワンカットでずっとやっちゃう人だからな」って。

 内野:演劇はご自身で遠ざけてしまったんですか? 僕は、役所さんは「全てを映画に投入した人」なんだと思って見てましたけど。

 役所:30歳くらいまでずっと、年に1本は演劇をやってたんですよ。ただね、当時はほとんど翻訳ものなんです。翻訳家の方が演出する芝居に出てたんですけど、そうすると「このセリフはちょっと……」となっても「翻訳はこうするしかないんです」というのが何か所かあってね。

 内野:翻訳家さんの選んだ日本語が「ちょっとこれは……」という?

 役所:そうそう。「(役者の生理として)本当は違うんだよなぁ……」と思いつつやるのがすごく嫌でね。やっぱり日本人が書いた本をやりたいなと思ったんだけど、新作の戯曲で企画を立てるとなると、1年後とかになってしまうし、どんな本になるのかもわからないわけですよね。そうこうしている間に、映画のほうに呼ばれるようになって、だんだん演劇から離れちゃったんだよね。だから映像と演劇の両方をコンスタントにやっている人って本当にすごいなと。

 内野:お師匠(※役所が所属した「無名塾」の仲代達矢)はそうじゃないですか。

 役所:だから僕はダメな弟子なの(苦笑)。でも内野くんは、俳優として本当にオールマイティだなと思いますね。何をやっても内野聖陽としての魅力を出しつつ、全てをやれる俳優なので、一緒に共演する上では信頼できますよね。

 文学座のエースだけあって、凝り性なところもあってね(笑)。「もういいんじゃないの?」というところもこだわり始めると……。寺島しのぶさんとは文学座で同期だったから、しのぶちゃんのいる時は2人でずっと文学座の話をしていて、僕はポツンと置いてかれていました(笑)。でも楽しかったですね。

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