1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 映画

アニメーション監督になるためには? 世界各国の監督たちがそれぞれのルーツ語る

映画.com / 2024年11月4日 21時30分

 スタッフとの連携などについてもそれぞれのスタイルがあったようだ。ギンツ監督は「しばしば監督が成功を欲すると、次はより大規模でやることになりがちですが、そうするとコントロールを失うリスクがある。でも『Flow』くらいの規模だと自由度が高くなりますし、パーソナルでユニークな物語を語ることもできる。それが多くの方に共感してもらえることにつながる」と感じているといい、「『Flow』はチームでつくることしかできなかった。この作品はキャラクターも増えて、技術的にも複雑だったんです。アニメ表現においては水の表現というのが難しいんですが、アニメーション表現そのものが改善したなと思っています。それは自分よりも上手い人がチームに参加してくれたから。わたしはアニメーションをつくることができますが、ベストなアニメーターであるとは思っていないので、優秀な人と仕事ができました」とチームでつくることの利点について語る。

 「オリビアと雲」のトーマス監督には「製作に10年かかったそうですが、スタッフの規模を大きくすることに興味はなかったのでしょうか?」といった質問が。それには「最初に長編をつくりはじめた時はアニメのショートフィルムを自分自身でしかつくったことがなかったんです。でも今回に関してはローカルなクルーを採用しました。そもそもわたしの国にはアニメーションの産業がないんです。だから教育が必要だと気付いたんです。もともとわたしは映像の学校でアニメーションを教えていたんですが、学生の中にわたしのチームに加わってほしい人材がいることに気付いて。15人のチームをつくりました」と説明。

 さらにそこで気付いたこととして、「さまざまなバックグランドを持つ人が集まることで、一種類の視点だけでなく、さまざまな視点が入るということです。それぞれがそれぞれのスタイルやアイデア、リソースを提供してくれる。そうすると、ストーリーの中にさまざまな視点が入ってきたり、それぞれのキャラクターが同じ記憶を、別の解釈で考えるという描写をしていたので、この作品には合っていたと思います。もし大きなチームでつくっていたとしても、早く仕上がったとは思いません。というのは、このプロセスの中で、ストーリーを理解したり、アニメーションのやり方を見つけていくことが必要だったわけですから。とてもハイブリッドで、メディアが混在していたので、理解するのに時間がかかったんです。最初はわたし自身、ストーリーを固めたり、どういう視点で、ストーリーを語ろうかと考えていました。それが何年か続いて、それからアニメーションを入れて、それぞれのスタイルをどう組み合わせていくのかということを決めていきました。だから最初の3年だけでこの映画をつくったとしたら、また別の作品になっただろうなと。この時間をかけたからこそ、今の作品ができたんだと思います」と本作の製作スタイルについて語る。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください