池松壮亮&妻夫木聡、俳優としての「本心」が語りたがっていること。【インタビュー】
映画.com / 2024年11月8日 11時0分
妻夫木「壮亮だから成り立っている、というところはあるよね。普通は無理じゃないかな。『池松くん、いまどう考えていた? そうだよね。こっち側のことを考えていたよね。それだと行き過ぎなんだ。じゃあ、もう1回。よーい、スタート!』みたいな速さなんですよ(笑)。石井さんは見えているんですよ。そして、壮亮自身もやっていて理解している。ふたりの関係性ゆえに成立していることなので、余計な感情は生まれないし、それを見ていて不安にもならない。ふたりだからこそ成せる技でした」
池松「あとは、映適(日本映画制作適正化機構)を意識せざるを得ないことはありました。予算とやりたい分量と撮影時間がどうしても釣り合わないから、なるべく前段階で話し合いを済ませ、現場ではすぐに撮れるような体制を構築していました。ほぼ1テイク。後半はテストもやらなくなっていましたね」
【編集部注】日本映画制作適正化機構:映画制作における労働環境の改善を目指し、映画産業における持続可能な発展を進めることを目的とする組織。実写映画を対象とし、撮影時間や休憩時間のルール、安全やハラスメントに関する体制整備が行われているかどうかを審査する。そして、ガイドラインに基づいて制作された作品には、適正な制作が行われた認定の印である「映適マーク」が付与される。
■池松と妻夫木の「心」がいま最も求めていることは?
今作を語るうえで、「心」について触れないわけにはいかない。というのも、今作がテクノロジーは、人の心を再現できるのか…をテーマにしているからだ。
【ストーリー】
「大事な話があるの」――そう言い残して急逝した母が、実は“自由死”を選んでいた。幸せそうに見えた母がなぜ自ら死を望んでいたのか…。どうしても母の本心が知りたい息子の朔也は、最先端のAI企業に「母を作ってほしい」と依頼。母の本当の心を知りたかっただけなのに、朔也は自分の心や尊厳さえも見失っていく。
これまで何度となく取材を通して、ふたりの“真心”に触れてきたからこそ、聞かずにはいられない。ふたりの「心」がいま最も求めていることについて。
妻夫木「全てにおいて純粋なんじゃないかな。誠実とも違う、もっとピュアなもの。子どもって何も考えずに行動するじゃないですか。大人がしたことに対してリアクションも取らない。それくらいの純粋さというものが必要なんだろうなって思っています。この役はこうあって欲しいとか僕の概念は一切なくして、役者を始めたときに何も考えず――考えることも知らないから――その役を演じていたわけだけど、あの何も考えることができなかった、純粋に芝居を楽しんでいる感じを僕らは二度と得られない。そこを今一度、僕は追いかけています」
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