池松壮亮&妻夫木聡、俳優としての「本心」が語りたがっていること。【インタビュー】
映画.com / 2024年11月8日 11時0分
池松「心は何を求めているんだろう…。頭の中で考えていることはいっぱいありますが、心は…。自分だけのことではないことは確かですが。妻さんともう一度、ちゃんと共演したいです」
10年前、妻夫木は「バンクーバーの朝日」の初日挨拶で「人が一生懸命な姿って、どんなに着飾った人よりも素敵。この映画を観てくれた人に少しでも希望を届けたかった。一生懸命な人って本当に格好いいんです。皆さん、どうか目の前のことから逃げないで」と涙ながらに語りかけていた。そして、妻夫木と池松は今も変わらずに一生懸命だ。これからの10年、ふたりが見据えていることに興味を抱く人は少なくないはずだ。
妻夫木「もう少し壁がなくなっていけばいいかなと思います。いまだに日本映画、日本のドラマ、海外、アジアなど、日本人って勝手に壁に作りがちで、それを超えていった人はすごい!と思いがち。エミー賞で真田広之さんが『SHOGUN 将軍』で快挙を成し遂げましたよね。『あれだけアメリカで頑張ってきたから実った!真田さん素晴らしい!』っておっしゃる人が多いけど、真田さんはそんな風に思っていないはずなんです。真田さんはやりたいことをやってきただけ。その中で『SHOGUN 将軍』が評価された。
評価されたから素晴らしいって、おかしいじゃないですか。真田さんは、そもそも素晴らしい人なんだから。誰かに求められない限り素晴らしい人間じゃないっていう風潮がなくなればいいと、僕は思うんです。みんなアメリカでもアジアでも、好きなところで仕事をしていって壁がなくなれば、新しい映画も生まれていくのかなと感じます。僕ひとりが言ったところで難しいですが、そういう未来があるといいな。僕は日本映画が大好きですし、日本の映画の現場が大好きですが、少しずつ変わっていかないといけない分岐点に来ている気がするんです。受け入れる、受け入れないじゃなくて、僕らが行動しなければって気がします」
池松「とてもよく分かります。映画のありよう、映画界のありようが、そこでうごめく個人のありようが大きく変わってきていますよね。映画が良くなるために必要なことや野心は、常に心にありすぎます。今作でAIやヴァーチャルなどに関する専門家の方々の話を聞いていると、これからの10年でAIとの共存のありようが決まってくるというんです。
だとしたら、社会も映画もどういう形に変化するのか。俳優はどうなっていくのか。まだ何も答えを見出せていませんが、きちんと見極め、変化を受け入れながら、変化を促していかなければと思います」
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