有村架純&坂口健太郎、脚本開発から参加した最新作の秘話から初対面までを遡る【「さよならのつづき」インタビュー】
映画.com / 2024年11月13日 12時0分
坂口:僕は何もかも難しかったです。心が動いてしまうときに、成瀬自身なのか、雄介の心臓がそうさせているのか――その表現はとても大変でした。仮に「いま雄介のパーセンテージが40%です」となったとしても、セリフで説明するわけではないので観ていただく方に感じてもらうことしかできません。成瀬を残しつつ、心臓がさえ子の方向に向いている状態をどう表現したらいいのか、雄介っぽさを入れ過ぎると(成瀬の妻の)ミキ(中村ゆり)のことを忘れてしまいそうになるので、試行錯誤の日々でした。モニターやレンズを通して全体を見ている黒崎博監督や撮影監督の山田康介さんに聞いたりしながら演じていきましたが、いまだに「これが正解」というものは正直ありません。
有村:この物語の設定は、誰もが共感できるものでは決してないかなとは思います。例えば心臓移植をされたことでドナーの記憶を一部受け継いだという記録が残っているということで、医学的なエビデンスはないとしながらも、完全なフィクションではないなかでリアリティを持たせながら演じていかなければいけませんでした。
ただ、かたや成瀬さんには奥さんがいるため、普通に演じてしまうと安直な考えではありますが――不倫の物語という風になってしまいます。そうなると自分の中では怖いなという想いがあって、悩みはしました。「人が愛されたこと/愛したことの記憶は永遠に残り続ける」というテーマを純度を高く持って演じ切ることが大切になる物語だろうと感じていましたから。
坂口:それでいうと、さえ子とミキの駅のホームでのやり取りは素晴らしかったです。僕は現場にいないシーンですが、台本を読んで「このシーンは心情的にもなかなかしんどいよな」と感じていました。このやり取りの仕方によっては、そのエピソードの色が決まってしまうくらい重要なものだと思いましたし、中村さんがこのテンションで来るとして架純ちゃんがどう返すかは個人的に楽しみにしていたところでもありました。ウェットやシリアスにすることもできるなか、出来上がったシーンにはどこか軽やかさが漂っていてとても素敵でした。
有村:あのシーンの撮影時にはすごく緊張感がありました。「もう会わないでほしい」というミキに対して、さえ子は「私は会います」と自分の気持ちを素直にぶつけますが、1歩間違えたら「私は悪くない」という傲慢な主張に見えかねないため、怖かったです。
――有村さんは今回の坂口さんのお芝居をどのように受け止められましたか?
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