「ペパーミントソーダ」1960年代パリの女子校、男の子やセックスに興味津々の女子たちの日常と揺れる心 ディアーヌ・キュリス監督に聞く
映画.com / 2024年12月17日 9時0分
(C)1977 - TF1 DROITS AUDIOVISUELS - ALEXANDRE FILMS-TF1 STUDIO
「サガン 悲しみよこんにちは」(2009)や「年下のひと」(2000)で知られるディアーヌ・キュリス監督は、フランス映画界の重鎮だ。その彼女が初めてメガホンを握り、1977年の公開当時フランスで大ヒットとなった「ペパーミント・ソーダ」が、4Kに修復され、47年の時を経て日本で初めて劇場公開を迎えた。
1963年の女子校を舞台に、男の子やセックスに興味津々の女子たちの日常、揺れる心を掬い取った本作は、当時としてはとても新鮮で、まだ女性監督も少なかった時代にキュリスはこれ一本で大きな注目を浴びる存在となった。ウェス・アンダーソン監督もファンだというのが頷けるパステルカラー調の色彩や、ノスタルジックな魅力あふれる本作の誕生秘話を、キュリス監督に振り返ってもらった。(取材・文:佐藤久理子)
※本記事には作品のネタバレとなる記述があります。
――本作はあなたの初長編監督作です。それ以前は俳優でいらしたのが監督に移行されたのは、何がきっかけだったのでしょうか。
「女優をやっていて、とてもフラストレーションがたまっていたからです(笑)。自分には才能がないと思っていたし、楽しくなかった。それで自分の感じることを語りたいと思い、脚本を書いたのです。それが『ペパーミント・ソーダ』になったのです」
――つまり本作はとても自伝的な作品なわけですね。
「自分の思春期の記憶です。姉とふたり、リセ(高校)に通っていたときの思い出を頼りに書きました。書き始めた当時は15年後ぐらいだったので、まだ記憶が鮮明でした。誰にでも多かれ少なかれある思春期の感情を、人と分かち合いたいと思ったのです。結果的に多くの人の共感を得ることができました」
――映画学校には行かれていないと思いますが、初長編で困難だったことはありますか。
「おっしゃる通り、映画を学校で学んでいたわけではありません。ただ俳優としてキャリアを始めたので、カメラの前で俳優がどんなことを感じるか、また俳優から見るカメラの動きなどはわかっていました。監督となってカメラの反対側に回ったわけですが、俳優としての経験がとても役に立ちました。セリフを書くことも、あるいは監督として感情の適切さを見つけるのにも役立った。初めてだったのでとにかく情熱に溢れていて、困難というよりはすべてが新鮮で楽しく、未来だけを向いていました(笑)。まだ見習いの時期ですが、自分なりの表現方法を見つけようとしていました。映画は映像、物語、音楽、すべての要素を伴います。そういう多彩さが面白かったし、ぜったいユニークなものになるだろうと思っていました」
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