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「CHANEL and Cinema TOKYO LIGHTS」役所広司が若手クリエイターたちに語った、俳優として大切なこと

映画.com / 2024年12月30日 15時0分

■仲代達矢主宰「無名塾」で教わったこととは?

 そんな無名塾のメソッドは、映像の芝居に通じるところはあったのだろうか? 「無名塾ではシェイクスピアを演じることが多かったんですが、無名塾を出てからも年に1回は舞台をやるようにしていました。でも舞台というのは、1年先の劇場のスケジュールを押さえて。そこで何をやるかという感じなので、なかなかオリジナルができなくて。ほとんどが海外でヒットしたような舞台の翻訳版が多かったんです。それで名前がジョージとかトムといった役をやるわけですが、だんだんと日本人の役をやりたいなと思うようになった。それと脚本が間に合わない、どんな役が来るのかも分からないという状況もあって。だんだんと演劇から遠ざかり、映像が主になったという感じです」と述懐。「演技に関しては、最初は下手くそで。それが演劇なのか、映像の芝居なのかも分からずにやっていたという感じでしたね。あとはいろんな世界中の映画を観て、先輩たちがやっていることと、自分の好みとか、そういうのを試して、自分にしっくりきたもの、雰囲気などを自分の中に取り入れてやってきた気がします」と振り返る。

 そんな役所にとっての演劇の師匠は、やはり仲代達矢だという。「仲代さんが全国をまわって演劇公演をする中で、若い俳優が小さい役をいただいて。大道具担当、小道具担当になったりしながら、仲代さんの芝居を袖から見るというのが勉強になったと思うし、“三歩歩いてセリフ”というのがちゃんと芝居になっているというのは間近で観ることができた。何より舞台上はいろんなアクシデントが起きるわけです。あの仲代達矢さんがセリフを忘れてしまって。舞台上を駆け回りながら、大したセリフも言わずに引っ込んだということがあった。そういうのを見て、俳優は過酷だけど、そういうところでも何かしらつなげないといけない、という姿を見た時に、やり続けないといけない仕事なんだなと思い、勉強になりましたね」としみじみ。そして日本映画では「黒澤明監督の映画はよく観ました。何度も観ていくうちに、三船敏郎さんや志村喬さんの演技が染み込んでいったというところはあると思います」という。

 その上で西川監督が「俳優がこの仕事をしていく上で身につけておいた方がいいプロセスはあると思いますか?」と質問すると、役所は「人間ってほとんど実生活でも芝居をしているんですよね。うちの犬もよく芝居をしていて、こいつは下手な芝居をしているなと思う事もありましたけど」と笑いつつも、「でも人間の実生活でもそういうところがあって。嘘を本当みたいに言っているなとか。今までも何回も言っているんだけど、今思いついたように言っているなとか。そういうところはあると思うんです。だから人を観察するのはもちろんのこと、自分も観察する習慣はあった方がいい。人間を演じるわけだから、人間の習性というのは敏感に感じ取れるといいなと思います」とアドバイス。

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