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「CHANEL and Cinema TOKYO LIGHTS」役所広司が若手クリエイターたちに語った、俳優として大切なこと

映画.com / 2024年12月30日 15時0分

 それを聞いた西川監督が「自分自身を観察するのは本当に難しいと思う。内面的に観察することはそうだけど、見た目がどう見えているのか、というのは、なかなか客観的に見る機会がないと思うんです。的確な役の感情を表現するのに適切な表情というのがあると思うんです。これは馬鹿みたいな質問かもしれないですが、鏡は見るんですか?」と質問すると、「鏡を見て芝居はしないですね。ただ気持ちは表情に出ると思うんです。これはあまりいい例じゃないかもしれないですが、妻に嘘を言ったときに、嘘じゃないと思わせるために、頑なに目をそらさないようにする。でもそれは傍から見ると変ですよね。でもそういうのが映画的なのかなと思いますし。僕なんかも、これはお芝居に使いたいなと思うようなことがよくあるんですよね。人間って絶対に芝居をしているじゃないですか。自分の中にもそういう嫌な感じがあるんだなとかいうことを覚えておいて。そういう感情を台本で見た時に、これはこういう感じなのかなと思い出しながら、そういう風に役を捕まえていくようにしていますね」と説明するひと幕も。

■西川美和、是枝裕和が語る役所広司という俳優

 映像作品ではカメラポジションや、寄り、引きといった画角などを変化させ、さらにはそのカットごとにリハーサル、本番などを行うことから、必然的に同じ芝居を何度も繰り返すことが求められる。西川監督も「やはり何十回も繰り返していくのは俳優さんもつらいでしょうし、集中力が途切れる瞬間もある。何人も出演者がいると、すべてのポジションがそろっているわけではないので。役者さんと対面している人の芝居が崩れることがあるんです。総合的にはそのテイクを使いたいんだけど、相手役の人の芝居が崩れているからどうしようかと思った時に、役所さんの芝居を洗い直すと、確実に正解がそこにある。役所さんの芝居にものすごく助けられることがありました。たとえば聞いているだけの顔なのに、役所さんのリアクションを映した方が、話者の内容が伝わりやすくなる、ということもあった。しゃべっている時の顔だけでなく、受け手の感情がちゃんと映っているというのが、演出にとっては助けになるんです」と役所との仕事を振り返る。

 役所自身“リアクション”の大切さを感じているという。「自分が次にしゃべるセリフの内容というのは、自分の前の人のセリフの中にその理由があったりするんですが、あるいはそのセリフをまったく聞かずに、これを言おうかなと先に思っているようなセリフもありますよね。その時は“聞いていない”“自分は次のセリフを言おうとしているという顔”になるわけです。だから自分のセリフに到達するまで、というのも大事なことだと思います」。

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