「ラストホール」若くして父親を亡くした想いなどを秋葉美希、田中爽一郎が語る
映画.com / 2025年1月17日 19時0分
昨年9月にテアトル新宿とテアトル梅田で開催された「田辺・弁慶映画祭セレクション2024」(弁セレ)で上映され、話題となった秋葉美希監督・主演の「ラストホール」が、好評につき1月18日からポレポレ東中野で単独上映される。秋葉監督、もうひとりの主演俳優・田中爽一郎が作品、単独公開への思いなどを語った。
「ラストホール」は、「退屈な日々にさようならを」(今泉力哉監督)、「少女邂逅」(枝優花監督)などの話題作に出演歴のある秋葉の初長編監督作品。第17回田辺・弁慶映画祭でキネマイスター賞を受賞した。自身の父親との別れの経験をもとに構想から7年かけ、“食べる×ロードムービー”として完成させた本作には、田中をはじめ、高尾悠希、優美早紀ら注目の若手俳優、川瀬陽太、鈴木卓爾といったベテラン俳優が集結した。
■誰かに寄り添ってほしいと願い続けて
――ご自身が経験した父の喪失を、映画にするに至った経緯をお聞かせください。
秋葉 父親を失った後、私はその喪失感を何か形にして残さなければ、この先を生きていけないのではないかという思いに囚われていました。時間が経つにつれて、父の顔を思い出せなくなる日が来るのではないかという焦りが、次第に心の中で膨らんでいったのです。私にとって、父の存在は常に何かを始めるための「着火剤」でした。芝居をしているとき、父の顔やその存在を思い浮かべることで、エネルギーを得て、燃えるような気持ちを抱いていたのです。
しかし、父がいないという事実を独りで抱え続けることに、次第に限界を感じるようになりました。周囲の人たちは私に寄り添おうとしてくれるものの、気を使わせているのではないかと感じ、かえって距離を感じてしまうことがありました。集団でいるとき、私だけが父を失った者として取り残されているような疎外感に苛まれ、そうした孤独と無力感が重なり、心が崩れていくような感覚に襲われたのです。それでも、どうしても誰かにこの苦しみを理解してもらいたくて、共感者を求め続けていました。人との距離を感じ、疎外感を抱えながらも、私はその痛みを誰かに寄り添ってほしいと願い続けていたのです。そんな中、「ARTS for the future!2」という助成金で映画を作るチャンスが巡ってきて、このチャンスを通じ、自分を救う映画を自分で撮ろうと決心しました。
―喪失を抱えながら生きる人へ、映画としてどのような寄り添い方を意識しましたか?
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