「ラストホール」若くして父親を亡くした想いなどを秋葉美希、田中爽一郎が語る
映画.com / 2025年1月17日 19時0分
秋葉 喪失に寄り添う作品にする上で、私は、すべてを理解しようとするスタンスは取りたくありませんでした。あなたのことをすべて理解してくれる存在より、むしろ、全てを分かり切ろうとするのではなく、分かり切ることはできないけれど、それでも寄り添ってくれる人の方が本当に大切にすべき存在なのではないか、と観る人に感じてほしかったからです。
誰もが自分の不幸を完全に理解してほしいわけではないと思います。確かに「生きていればいいじゃん」という考えを持つ人もいるかもしれません。でも、どんなに他の人が慰めの言葉をかけても、その不幸はその人だけのものです。誰かがそのすべてを理解することはできないのだと思っています。渦中にいるのは、他でもない本人です。だからこそ、私はその人の痛みを否定したくありませんでした。言葉を選びながら、相手の気持ちに寄り添いたいと思っていました。
でも同時に、私自身の気持ちにも正直でありたかったのです。父が亡くなったとき、私は誰にもそのことを話しませんでした。ですが、同級生たちはどこかから私が父を失ったことを知っていて、彼らに「お悔やみ申し上げます」と言われたとき、なぜか私は傷ついてしまいました。私は別に可哀想な人間ではないのに、その言葉が逆に自分を小さく感じさせたのです。映画やドラマでよくある「俺の気持ちはお前にわかんねーよ」という類のセリフが嫌いだったのですが、その時、まさにその気持ちが湧いてきました。共感されることが嫌だと思ってしまったのです。相手には悪気がないことも優しさだったことも理解しています。
しかし、それでも私はその優しさを受け入れられなくなっていたのです。そこで、私は誰かの悲しみに対面した時、相手に「その気持ち、わかるよ」という言葉を使うのをやめました。決して相手の優しさを否定したいわけではありません。ただ、自分がその優しさをどう受け止めていいのかが分からなかったのです。
――本作の製作前と後ではどのような心境の変化がありましたか?
秋葉 父親がいなくなってしまったけれど、この作品が誰かに届くことで、それぞれの感想が生まれ、また、この作品を通して誰かが何かを感じてくれることによって、私は今もなお父親からの愛情を感じることができるような気がします。これまでは芝居をするたびに、常に父親のことを思いながら演じていました。
しかし、最近になってやっと、「ひとりで芝居をしてもいいんだ」という心境の変化が訪れました。一人でも芝居をしていい、そしてそのことに対して恐れを感じる必要はないのだと、少しずつ自分を許すことができるようになったのです。その結果、芝居への意欲も以前よりも強くなり、改めて映画という表現の力に支えられてきた自分を実感しています。
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