「ラストホール」若くして父親を亡くした想いなどを秋葉美希、田中爽一郎が語る
映画.com / 2025年1月17日 19時0分
田中 東京、横浜、大阪など、長期間にわたる映画の撮影で地方を巡る経験はほとんど初めてでしたし、何より物語の中でずっと息をしていられることがとても幸せでした。これまで参加した作品と異なるのは、「ラストホール」は俳優仲間や長年応援してくださっているお客さんからも「これが代表作だ」と言っていただけるような作品になりました。オファーを受けた際、秋葉からも「『ラストホール』が爽ちゃんの代表作になったら嬉しい」と言われ、その言葉が心に残っています。上映を重ねる中で、自分自身もこの作品が自分にとって特別な意味を持つものだと感じるようになり、ますます大切な作品となりました。
■弁セレで得たもの。そして、ポレポレ東中野での上映に向けて
――第17回田辺・弁慶映画祭にてキネマイスター賞を受賞されてから2024年9月の劇場公開まで、怒涛の日々だったと思います。改めて振り返ってみていかがでしたでしょうか?
秋葉 監督・主演作が初めて劇場公開されるということで、大変なことも多かったかもしれませんが、それでも幸せな期間だったと感じています。本当に多くの人に救われ、背中を押してもらいました。いただいたものがとても多いため、これからの映画や活動を通じて、少しでも恩返しができればと思っています。
田中 弁セレを通じて、俳優として映画を届ける姿勢について改めて考えさせられる期間となりました。これまでの作品では、撮影が終わると公開までは自然に作品と距離が離れていくことが普通でしたが、本作ではSNSやチラシ配り、クラウドファンディングなど、映画を届けるために不慣れなことにも積極的にチャレンジしました。ここまで上映に関わるのは初めてで、正直大変なことも多かったですが、その分、喜びや充実感も大きく、俳優業に対しても新たに燃え上がるものがありました。
――観客からもらった感想で、印象に残っているものはありますか?
秋葉 自分の飼っていた猫のことを思い出したっていってくれる人がいて、親だけじゃなく、自分の大切なものを思い起こさせる対象にこの映画がなれたことが幸せでした。あとは、「ラストホール」を観た後に、たこ焼きを食べてくれたり、親のことを考えたり、映画を観終わった後の時間を大切にしてくれている人がいて嬉しかったです。
田中 「ラストホール」は秋葉の個人的な作品ではあるので、上映までどのように受け取られるのかは分かりませんでした。ですが、上映が始まると、自分の人生と重ね合わせて観てくださる方が多く、その反応をとても嬉しく感じました。物語と誰かの人生がリンクする瞬間を共有できたこと、実感できたことが本当に喜びでした。個人的な話が、届くべき人々にしっかりと届いたことが、何よりも嬉しかったです。
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