「他者との関係によって、彼という人物は形成された」アリ・アッバシが追求する“人間”ドナルド・トランプの変容
映画.com / 2025年1月19日 9時30分
――本作を撮影する上でトランプについてのリサーチもされたと思いますが、その過程の前後で監督はドナルド・トランプに対するイメージに変化はありましたか?
実は本作に携わるまでトランプに対しこれといったイメージを持っていませんでした。それが製作するうえでの私の強みになったのではないかと思います。もともと彼が不動産界の有名人であることはなんとなく知っていましたが、私が本当に認識し始めたのは、彼が2015年にトランプタワーの金色のエレベーターを降りてきて大統領に立候補することを発表したとき。当時は彼のことを軽視していたし、冗談かと思っていましたが。その後もメディアで見聞きしたくらいで、彼について具体的な見解を持っていたわけではありません。本作を観る人々がかつて抱いていた印象と同じような気持ちだったかもしれませんね。仰るとおり本作を撮るにあたってトランプについてのリサーチを行いましたが、これまで知らなかった彼の側面について知ることができたと思います。
――そのリサーチのなかで、監督がドナルド・トランプに共感する部分はあったのでしょうか?
たとえばヒトラーは禁煙を推進しましたよね。私を含む嫌煙家の人は、そこにだけはきっと共感できるでしょう。そのように人間というのはたとえどんな極端な相手であろうと、多少なりとも共感できる部分を見つけることができると思うんです。今回私がトランプについて向き合うなかで、私が好意的に感じたのは彼の粘り強く執拗なところでした。またポリティカル・コレクトネスの在り方や、あらゆるものがアイデンティティ・ポリティクスというレンズを通じて見られるようになりつつある風潮に対し、私も少し問題意識を持っているので、彼の言うことに理解できる部分も少しはあります。
そして最も重要なポイントですが、彼はポピュリストです。たとえば明日から大衆が牛肉を食べないと言えば、トランプも他の皆と同じようにベジタリアンになることでしょう。彼はそれくらい主義のない、柔軟な人物なのだと思います。なので一人の人間として見ると、トランプという人物がどれほどロイやイヴァナ、父親やメディアの人々といった他者との関係によって形成されてきたかが分かります。それこそが彼の最も興味深い点だと感じ、彼に少しずつ起こった変化を観察したいと考えたのです。簡単に「彼はこういう人物だ」と結論づけることには興味はありませんでした。
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