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【神は細部に宿る】阿部寛主演「ショウタイムセブン」撮影現場で垣間見たスタッフ、キャストの完膚なきまでのプロ意識

映画.com / 2025年1月21日 11時0分

【神は細部に宿る】阿部寛主演「ショウタイムセブン」撮影現場で垣間見たスタッフ、キャストの完膚なきまでのプロ意識

 「岸辺露伴は動かない」シリーズで知られる渡辺一貴が、2013年の韓国映画「テロ,ライブ」を現代日本に置き換えて新生した「ショウタイムセブン」。人気絶頂のなか、国民的ニュース番組「ショウタイムセブン」を降板させられた元人気キャスター・折本(阿部寛)。現在はラジオパーソナリティとして不遇の時期を過ごす彼のもとに、なぜか爆弾犯から犯行予告が入ったことから、折本は“交渉人”として生中継を強行し番組に返り咲こうとする。本作のオフィシャルライターを務めたSYOが、7月中旬に行われたプレスデーの内容も含めた撮影現場レポートをお届けする。

 渡辺監督が「90分や120分ワンカットの生ドラマのような作品を撮ってみたいという想いと、マスコミ業界に生きている人を描きたいという想いの両方が叶えられる企画だと感じました」と語る通り、エンタメ性を重視しつつも本作で徹底的に追求されたのは、リアルタイム性。ここでいう「リアルタイム」は単に「劇中時間と実時間が一致する構成」だけでなく、「2025年の日本の実情を落とし込んだ同時代性×メッセージ性」、さらには「リアリティ(現実感/本物感)を感じられる物語・映像」も含まれる。

 現に、本作の爆弾テロ犯がターゲットにするのは発電所だが、そのセリフの中には「テレビと冷蔵庫だけで電気代が月1万円」など、いまを生きる私たちとシンクロする生々しい叫びが込められている。渡辺監督は初稿を3日で書き上げたというが、切実さと風刺性がビビッドかつ痛烈に表現されているのだ。また、劇中に登場するスタジオ内のカメラマンやテクニカルディレクターといったテレビクルーには、現役で活躍する本職のスタッフたちを起用。AD役のキャストにも事前にピンマイクの付け方等の練習を指示し、実際のニュース番組さながらの臨場感を生み出した。さらに、臨場感を生み出すべく、緊急通報指令室を舞台にしたリアルタイムサスペンスの傑作「THE GUILTY/ギルティ」(18)におけるカメラワークや照明のアプローチを検証したという。

 都内のスタジオにニュース番組のセットを丸ごと建造し、クルーやスタッフを配置して実際の収録風景を再現した「ショウタイムセブン」は、撮影現場も異例続き。画面に映し出されるのはニュース番組内だけでなくスタジオ全体であり、撮影クルーやキュー出しを行うスタッフに至るまで、裏側も全てが撮影対象となる。そのためスタジオ内にはニュース番組用のカメラとそれ以外を捉える映画用のカメラが同時に存在し、常時 5台体制かつ撮影範囲が360度と死角が存在しない状態で行われた。スタジオ内に一歩足を踏み入れた報道陣からはその本物感に対する感嘆の声が漏れたが、「神は細部に宿る」のが本作の強み。もう一つの舞台となる副調整室(カメラのスイッチングを行ったりスタジオに指示を送る場所)を含めた現場内にさりげなく置かれたベンチやメモ、ポスターや紙袋一つひとつに至るまで全てがゼロから作られている(なお、柳川和央が手掛けたニュース番組のセットはテレビ朝日等、各放送局の情報番組やニュース番組のセットを検証したうえで、「岸辺露伴は動かない」つながりでフランク・ロイド・ライトのエッセンスをプラスする遊び心が込められている)。

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