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死後、預金やサブスクはどうなる?作家・雨宮処凛が語る“損しない”技「情報と知識がすべて」

エンタメNEXT / 2024年4月10日 6時1分

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写真はイメージです(画像:ピクスタ)

2006年から貧困問題に深く取り組んでいる作家・活動家の雨宮処凛。現在発売中の最新刊『死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで』(光文社新書)では、「働けなくなったら」「お金がなくなったら」「親の介護が必要になったら」など誰もが抱く不安について、社会保障を使いこなすコツや、各種相談先など、必要な情報を各々の専門家に取材し、一冊にまとめている。自身も「一人暮らしで単身、この先が不安で仕方ない」と語る雨宮氏に、不安定な社会で生き延びるための知恵を聞いた(前後編の後編)。

【画像】発売中の最新刊『死なないノウハウ 独り身の「金欠」から「散骨」まで』(光文社新書)

「いまの日本で、生き抜くためには情報が必要なんです。けれどネット上では、その情報が玉石混合。生活保護とかで検索しても貧困ビジネスをやっている組織がわんさか出てくる。ほとんどのサイトが、さも親切でかつクリーンな雰囲気で作られていて、ちゃんとした組織なのか、それとも違うのかって見極めるのは素人では到底無理。わたしでも新しい貧困ビジネスについては、正直すべて網羅はできていません」

困窮者を食い物にする貧困ビジネスの中でも最もメジャーなもののひとつは、住まいがない人の弱みに付け込んだものだ。ホームレス状態の人やネット検索で連絡してきた人に「生活保護を受けられる」という甘言で無料低額宿泊所、通称・無低へと案内。無低の多くは交通アクセスの悪い僻地にあり、衛生状態は劣悪で、4〜20人の大部屋のところも少なくない。そんな環境ゆえに入居者同士のトラブルが絶えないことも稀ではない。生活保護は受けられるものの、管理費や食費などが取られ、手元に残るお金は月に1万か2万ということも。当然、中抜きをしている業者は大儲けだ。

「しかるべき支援者に連絡をくれれば、『アパート転宅させろ』という交渉で助けられる可能性があります。だけど、最近はさらに悪質化してきて、投資用物件のアパートに困窮者を住ませて資産価値を上げるという手法もある。その場合はもうアパートにいるから、転宅の交渉ができない。制度の抜け穴を利用した貧困ビジネスがはこびっているのが実情です」

意識が高い人ほど「自分でよりよい、よりフィットした組織を選びたい」という思いがあることは間違いない。が、生活保護を利用したビジネスが悪意のある者たちに目を付けられている現状がある以上、どれだけ吟味しても、足を取られることもある。それよりはしっかりとした発信元による情報を信頼して身を預けるのがもっとも手堅い。『死なないノウハウ』に掲載されているのは、お墨付きの組織ばかり。手助けになることは間違いない。



「死なない」ことはもちろん大切だが、いつかは誰もが「死ぬ」。家族持ちであれど、独り身なれど、死んだ後の始末という問題が必ず立ち上がることになる。ネット通帳やサブスク、スマホやパソコンのデータ……デジタル化で、かつてよりも死後の始末が複雑化した現在、なにを備えておくことが必要かも、本書で紹介されている。

「一番困るのは、残された人たちが、どこの銀行に口座があって、どんなサブスクに入っているのか、何を契約しているのかわからないこと。シニアライフ特化型コンセルジュサービスを提供している『LMN』に取材したところ、一番困るのは亡くなった後に、パスコ―ドがわからずにスマホが開かないことだそうです。『LMN』では特殊な業者と提携、スマホを開くサービスを請け負ってくれますが、パスワードの入力を10回間違えると初期化されてしまうiPhone(設定による)の場合は50万円くらいかかるといいます。何度でもパスワードを試せるアンドロイドは10万円くらいで済むそうですが」

それを防ぐために事前に伝える相手を指定しておくことで、死後、パスワードなどの情報が行くというシステム『デジタルキーパー』というシステムも用意されている。こちらは月額330円。すべてクラウド化されており、指定されている人以外には絶対に情報がバレないというから安心だ。

「自分が契約している電気、ガス、水道、口座を持っている銀行、家賃支払い先、サブスク、スポーツジムなどの会費、NISAとかの金融財産とか、すべての情報をまとめて託せる人がいるんだったらいいですが、そこまで信頼できる人はいないっていうんだったら、業者に頼むっていうのも、ひとつのやり方ですね」

死亡すると、銀行口座が勝手に凍結されてしまう場合がある。遺産相続のトラブルなどを避けるためだ。相続問題が解決するための一時とはいえ、葬式代が遺族の持ち出しとなってしまうこともある。それを防ぐテクニックも本書には紹介されている。

「ゆうちょ銀行は、届けを出すまで凍結されないんです。なので、遺族に迷惑を掛けたくない場合は、口座を作って葬式代だけはそこに入れておくのも一つの手です。ただ、今ってデジタル通帳であることも多くて、残された人たちが、どこにどれだけ貯金があるのかもわからないことも。解約していないサブスクは、クレジットカードが生きている限り引き落とされ続けるので、口座とパスワードは死後、遺族にわかるように残しておいたほうがいいです。死んだ後、SNSを退会手続きしてほしい人は、アカウント名とパスワードとを記しておいたほうがいいかも」



一人暮らしの場合には、玄関ドア近くの見えない場所に暗証番号で開くタイプのキーボックスを設置して、いざという時は家族なり友人なりが部屋に入れるようにしておけば、死後の手間を減らすこととなる。

「しばらく自分と連絡が取れなかったら、部屋に来てと家族や友人に伝えておく。逆に親族や友達がいなくても、業者を知ってさえいればそこに託す。どこかに解決の窓口はあるんです。あとは遺言状でしょうか。遺族が揉めないためにも必要です」

自分が死んで少しでも預貯金があった場合は、法定相続人へと相続されることとなる。相続の詳細については本書を参考いただくとして、独り身の場合はどうなるのだろうか。

「法定相続人が1人もいない場合は、すべて国庫に入ることになります。国庫に入ることを希望する人はそれはそれでいいと思うんですが、こんなに税金がおかしな使われ方をしている状況だから、嫌だって思う人もいますよね。そういう人はNPOなどに寄付するという手があります。そのためには、受け取ってもらう相手と死因贈与契約というものを生前に結ぶ必要があります。遺産で推しを推すこともできるのです。ただ、相手の了解をとらないといけない。こういう、もろもろの情報を知らずに生きているのって、全裸で生きているみたいなもの。知識を持たずに生きているってことは、無防備すぎることなんです。有り金全部取られてしまう可能性だってある」

本書の中で紹介されている、様々な専門家や組織が取り扱っている事柄は、誰にでもおきる普遍的な、生きていく上で出会う問題や悩み。『死なないノウハウ』で信頼できる相談先や然るべき解決方法の知識を手にいれれば、人生のハードさが少しだけ下がる。御守り代わりに一冊、手元においておきたい本ではないだろうか。

【前編はこちら】生活困窮で消費者金融に走る人に待った!作家・雨宮処凛が語る「行政の制度を利用しないと損」

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