年収が高く、残業が少ない傾向にある業種はどこ?
ファイナンシャルフィールド / 2021年11月25日 0時0分
「少ない労働時間でできるだけ多くの対価を得たい」というのは、誰しもが考えることでしょう。しかし、年収が高いのに残業が少ない仕事はあまりないのが現実です。 ここでは、年収と残業時間について、それぞれ多い業種、少ない業種を紹介するとともに、年収が高く残業が少ない業種について考えます。収入と労働時間の条件が良い業種で働きたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
年収が高い業種・低い業種は?
厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、令和元年の月間現金給与総額(月給+賞与等の特別に支払われた給与)が高い業種は、金額が多い順に次のとおりです。
●電気・ガス・熱供給・水道業(56万3300円)
●情報通信業(49万2800円)
●学術研究・専門、技術サービス業(48万1700円)
●金融業・保険業(48万1400円)
●建設業(41万6300円)
●電気・ガス・熱供給・水道業(60万1600円)
●学術研究・専門、技術サービス業(54万2600円)
●金融業・保険業(54万1400円)
●情報通信業(52万4800円)
●建設業(51万7700円)
従業員規模によって多少順位は異なるものの、いずれもトップ5に同じ業種が並ぶ結果となりました。
一方、月間現金給与総額が低いのは、次のような業種です。
●宿泊業・飲食サービス業(12万5100円)
●生活関連サービス業・娯楽業(21万300円)
●卸売業・小売業(28万2500円)
●宿泊業・飲食サービス業(15万1900円)
●生活関連サービス業・娯楽業(22万800円)
●卸売業・小売業(32万2300円)
こちらは、従業員規模にかかわらず同様の結果です。
新卒の初任給が高い業種は?
厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査結果」によると、初任給が高い業種は次のとおりです。
●学術研究・専門、技術サービス業
●情報通信業
●建設業
●学術研究・専門、技術サービス業
●情報通信業
●建設業
●建設業
●卸売業・小売業
●教育、学習支援
●情報通信業
●建設業
●教育、学習支援/宿泊業・飲食サービス業
初任給が高い業種は、月間現金給与総額が高い業種と必ずしも一致していません。初任給が高い業種に就職しても、長期的に見て高い年収が得られるかどうかは別であるといえそうです。
残業が少ない業種・多い業種は?
厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、月間の所定外労働時間が少ない業種、多い業種は次のとおりです。
■月間所定外労働時間が少ない業種
●医療・福祉(5.3時間)
●宿泊業・飲食サービス業(5.8時間)
●生活関連サービス業・娯楽業(6.8時間)
●卸売業・小売業(7.6時間)
●複合サービス事業(9.3時間)
●医療・福祉(6.2時間)
●宿泊業・飲食サービス業(7.2時間)
●生活関連サービス業・娯楽業(7.9時間)
●卸売業・小売業(8.2時間)
●教育・学習支援業(9.8時間)
■月間所定外労働時間が多い業種
●運輸業・郵便業(23.1時間)
●鉱業・採石業・砂利採取業(15.4時間)
●製造業(15.0時間)
●建設業(14.8時間)
●情報通信業(14.8時間)
●運輸業・郵便業(23.3時間)
●建設業(20.8時間)
●鉱業・採石業・砂利採取業(16.9時間)
●製造業(16.7時間)
●電気・ガス・熱供給・水道業(16.7時間)
所定外労働時間が最も多い業種と少ない業種では、月間15時間以上も差があります。
公務員の残業時間は少ない?
総務省「地方公務員の時間外勤務に関する実態調査」によると、平成26・27年度の地方公務員・国家公務員の1ヶ月あたりの時間外勤務時間数は、次のとおりです。
●地方公務員:13.2時間(本庁:18.3時間、出先機関等:9.9時間)
●国家公務員:19.4時間
いずれも、民間企業のなかでも所定外労働時間が比較的多い業種に匹敵する数字です。所属する団体や機関にもよりますが、公務員の残業時間は民間と比べて決して少ないとはいえないでしょう。
年収が高くて残業が少ない業種はある?
一般的には、残業が多くなるほど残業手当が加算され、年収は上がります。反対に残業が少ないと、手当が少ない分、年収は低くなるでしょう。そのため、ここまでに紹介した数字を見ても、「残業が少なく年収が高い」業種は、あまりありません。
強いて挙げるなら、年収上位のうち所定外労働時間が上位5業種に入っていない次の業種は、年収の高さに対して残業が少ないといえるのではないでしょうか。
●金融業
●学術研究・専門、技術サービス業
●情報通信業(従業員30人以上)
●電気・ガス・熱供給・水道業(従業員30人未満)
残業時間数と収入のバランスがポイント
残業が多いほど残業手当てが増えることを考えると、「年収が高くて残業が少ない」と絶対的に評価できる業種はありません。働きやすさという点を考えるなら「基本給が十分にある」「働いた時間の分だけきちんと手当がつく」「プライベートが失われたり体を壊してしまったりするほどには残業時間が多くない」といった、バランスが取れた業種、企業を選択することが大切です。
【出典】
厚生労働省 労働統計要覧(令和2年度)
E-3 産業別月間現金給与総額注
E-1 産業別賃金指数(現金給与総額)注 (注のみ参照)
D-4 産業別月間実労働時間数注
総務省 地方公務員の時間外勤務に関する実態調査結果の公表
地方公務員の時間外勤務に関する実態調査結果
厚生労働省 令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:3 主な産業別にみた初任給
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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