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学生納付特例で猶予された国民年金保険料。追納以外に年金の減額分を補う方法は?

ファイナンシャルフィールド / 2023年7月18日 5時20分

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一般的に4年制大学を卒業してから就職すると、就職時は22歳です。一方、国民年金保険料は20歳で納付の義務が発生しますが、学生の間は「学生納付特例制度」の利用申請を行い、承認されれば国民年金保険料を納めなくてもよいことが認められます。そして、納めなくてもよかった国民年金保険料は卒業後など、将来納めることができ、これを「追納」といいます。   学生納付特例は、国民年金保険料の支払いを猶予されたという意味合いになります。追納は義務ではありませんが、追納を行わない場合、将来、その分の老齢基礎年金の額が減ります。   では、「学生納付特例制度」で猶予されたことにより、老齢基礎年金の減額を防ぐ方法は追納だけなのでしょうか?

国民年金保険料の追納とは

追納ができるのは、免除等の期間の追納が承認された月の前10年以内の免除期間に限られています。保険料の免除もしくは納付猶予を受けた期間の翌年度から起算し、3年度目以降に追納する場合には、承認を受けた当時の保険料額に対して経過期間に応じた加算額が上乗せされます。
 
なお、追納による保険料は社会保険料の控除の対象になりますので、所得税や住民税の節税の効果もあります。学生時代は節税を意識する機会も少ないと思いますが、節税という点でも追納は有効だといえるでしょう。
 

国民年金の任意加入とは

60歳から65歳までの間、厚生年金保険に加入せずに働く場合に、国民年金保険の「任意加入」という方法があります。任意加入で納める国民年金保険料は、任意加入した年度の国民年金保険料を納めることになります。
 
例えば、1993年に20歳で国民年金保険料の学生納付特例を承認された人が、2033年に60歳で国民年金に任意加入した場合、2033年の額の国民年金保険料を納めることになります。ちなみに、1993年度の国民年金保険料の額は1万500円です。
 

経過的加算とは

60歳以後、厚生年金保険に加入すると、国民年金保険料の任意加入はできません。学生時代に学生納付特例を承認され、その後、20~30代の間に追納を行わなかった場合、65歳以後に受け取る老齢基礎年金の額が減ってしまいますが、60歳以後も任意加入もできないとなると、その分はもう取り戻せないのでしょうか。
 
老齢基礎年金と同じく、65歳から受け取る老齢厚生年金には「経過的加算」というものがあります。経過的加算の計算式は、以下のとおりです(以下の計算式は、日本年金機構のサイトから引用)。
 

定額部分の計算式(令和5年4月分から)

67歳以下の方(昭和31年4月2日以後生まれ)
1657円 × 生年月日に応じた率 × 被保険者期間の月数(※1)
 
68歳以上の方(昭和31年4月1日以前生まれ)
1652円 × 生年月日に応じた率 × 被保険者期間の月数(※1)

(※1)
昭和9年4月2日から昭和19年4月1日生まれは444月、昭和19年4月2日から昭和20年4月1日生まれは456月、昭和20年4月2日から昭和21年4月1日生まれは468月、昭和21年4月2日以後生まれは480月を上限とします。
 
【図表1】経過的加算


 
注:68歳以上の方(昭和31年4月1日以前生まれ)は、79万2600円
出典:日本年金機構「老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額」
 
以上の計算式を基にシミュレーションしてみましょう。
 
例えば、1971年4月2日に生まれた方が、学生時代に2年間(24ヶ月)、国民年金保険料の学生納付特例の承認を受け卒業後、65歳まで厚生年金保険に加入しながら働いたとしましょう。
 

定額部分:1657円×1.000×480月=79万5360円
経過的加算:79万5360円-79万5000円×456月(※2)/40年×12=4万110円

(※2)
昭和36年4月以後で、20歳以上60歳未満の厚生年金保険の被保険者月数
 
ちなみに、学生納付特例の承認を受けた24ヶ月分が老齢基礎年金から減額されるわけですが、その具体的な額は79万5000円×2年間÷40年間=3万9750円です。つまり、経過的加算の額で減額分を補うことができそうです。
 
詳しくは、ご自身の状況に合わせて計算してみてください。
 

出典

日本年金機構 国民年金保険料の追納制度
日本年金機構 経過的加算
日本年金機構 老齢厚生年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 定額部分
日本年金機構 国民年金保険料の変遷
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
 
執筆者:大泉稔
株式会社fpANSWER代表取締役

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