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お金持ちの親が遺した遺言書には全額寄付・・・これって絶対に守らないといけないの?

ファイナンシャルフィールド / 2018年8月25日 9時0分

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「遺産はすべて慈善団体へ寄付する」   莫大な遺産を遺して亡くなった親がこのような遺言を遺していたらどうでしょう。親の遺言が存在する以上、1円も遺産を分けてもらうことができないのでしょうか。   それとも、遺言を守らず相続してしまっても問題ないのでしょうか。  

資産家の父が遺した遺言は「全額寄付」

Aさんの父は資産家でした、
当然Aさんは自分がその資産を受け継ぐものだと考えていました。しかし、父の遺した遺言はAさんの予想とまったく異なるものでした。
「2億円の遺産はすべて慈善団体へ寄付する。」
もし、上記の遺言のとおり全額寄付とするならば、2億もの遺産があるにもかかわらずAさんは1円も遺産を受け取ることができません。
納得のいかないAさんは遺言の様式や父の遺言能力(遺言の内容と発生する結果をきちんと理解できていること)などについて調査しましたが、それらに問題はなく、遺言は有効でした。
であれば、遺産はこのまま全額寄付となってしまうのでしょうか。
 

Aさんは遺留分の主張をするべき

結論として、今回の事例におけるAさんは、遺留分減殺請求権を行使し、自身の遺留分を主張することで、2億の遺産のうち2分の1にあたる1億円を相続することができます。
そして、残りの1億は遺言のとおり慈善団体へ寄付することとなります。事例の遺言において様式の不備など無効となる事由は見当たりませんでした。
にもかかわらず、その遺言を曲げ、遺産の半分である1億についてAさんに相続させる遺留分や遺留分減殺請求権とはどのような制度なのでしょうか。
 

遺留分減殺請求権とは

まず、民法では被相続人(財産を遺して亡くなった方)の兄弟姉妹を除き、相続人ごとに最低限これだけは相続できるといった割合が決まっています。
これを遺留分といいます。(民法1028条)遺留分は相続人の構成についてまとめるとこのようになります。

相続人の構成

(1)相続人が直系尊属(親や祖父母など)のみの場合

遺留分の割合

被相続人の財産の3分の1
相続人の構成

(2)相続人に子供や配偶者が含まれる場合

被相続人の財産の2分の1

※相続人の構成に関係なく、被相続人の兄弟姉妹に遺留分はありません。
※相続人が複数存在する場合、上記表にある遺留分の割合を相続人で分け合います。
しかし、遺留分によって最低限の相続分が保証されていても黙っていては意味がありません。
現実に遺留分を確保するためにはその権利を行使する必要があります。その行使すべき権利のことを遺留分減殺請求権と呼びます。(民法1031条)
今回、Aさんは被相続人の子であり上記の表の(2)にあたります。そのため、Aさんは遺留分減殺請求権を行使することで、2億の遺産のうち、2分の1にあたる1億円について相続することができるのです。
 

遺留分減殺請求権の行使はいつまで?

遺留分減殺請求権はいつでも行使できるわけではなく、次の2つ条件のうちどちらかに該当してしまうと時効により消滅してしまいます。(民法1042条)
1.遺留分減殺請求権は相続の開始と減殺すべき贈与・遺贈があったことを知ったときから1年行使しないとき
2.相続の開始から10年が経過したとき
遺留分減殺請求権の行使について特に決まった方式はなく、本人の意思表示によってその果が発生します。
とはいえ、きちんと意思表示をした証拠を残すために、内容証明郵便など、確実に意思表示の履歴が残る形で行使するべきでしょう。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士・2級ファイナンシャルプランナー

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