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月1万円の貯金も難しいのに…… 奨学金を借りて、ちゃんと返せるものなのでしょうか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年3月12日 9時0分

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奨学金を借りて大学へ進学することを検討している人、奨学金を借りて大学を卒業した人は、奨学金を返還できるのかどうなのかについて悩む人もいるのではないでしょうか。社会人になって給料をもらうようになり、月1万円の貯金もできるか分からないなかで、返還は難しいと考える人もいるでしょう。   本記事では、奨学金の未回収額がどのくらいなのか、返還できないとどのような問題が起こるのか、返還が難しい場合に利用できる制度などを解説します。

奨学金の未回収額は789億円

独立行政法人日本学生支援機構の「返還金の回収状況及び令和2年度業務実績の評価について」によると、奨学金の未回収額は789億円です。回収率は89.9%、要回収率は11.1%で、正しく返済を行っている人の割合が高いものの、滞納する人がいることも決して珍しい状況ではありません。

 

奨学金を返還できないとどうなる?

奨学金を返還できない場合、以下のように本来よりも多くの支払いが必要となり、一定期間はローン契約やクレジットカードの作成ができなくなる可能性が高いです。
 

・延滞金が発生する
・信用情報機関に登録される

 
後から奨学金を返還しても、上記の問題が解決することはありません。それぞれについて解説しますので、奨学金の返還を行うことの必要性を正しく理解しておきましょう。

 

延滞金が発生する

奨学金の支払いを遅延した場合は、図表1のように延滞金が発生します。
 
【図表1】

奨学金の種類 賦課率
第一種奨学金(無利息) <平成17年3月以前採用>
平成10年2月以前に貸与終了
【年1回払込用紙で返還】
延滞中の割賦金額に対し、返還期日から6ヶ月が経過した日が平成26年3月31日まで:年5.0%、平成26年4月1日~令和2年3月31日まで:年2.5%、令和2年4月1日以降:年1.5%
【口座振替の手続きを行って返還】
延滞中の割賦金額に対し、返還期日から6ヶ月が経過した日が平成26年3月27日まで:年5.0%、平成26年3月28日~令和2年3月27日まで:年2.5%、令和2年3月28日以降:年1.5%
<平成17年3月以前採用>
平成10年3月以降に貸与が終了
延滞中の割賦金額に対し、返還期日から6ヶ月が経過した日が平成26年3月27日まで:5.0%、平成26年3月28日~令和2年3月27日まで:2.5%、令和2年3月28日以降:1.5%
<平成17年4月以降採用> 延滞中の割賦金額に対し、返還期日の翌日から返還した日までの日数に応じて、平成26年3月27日まで:年10.0%、平成26年3月28日~令和2年3月27日まで:年5.0%、令和2年3月28日以降:年3.0%
第二種奨学金(利息付き) 平成10年2月以前に貸与が終了 【年1回払込用紙で返還】
延滞中の割賦金額(利息を除く)に対し、返還期日の翌日から返還した日までの日数に応じて、平成26年3月31日まで:年10.0%、平成26年4月1日~令和2年3月31日まで:年5.0%、令和2年4月1日以降:年3.0%
【口座振替の手続きを行って返還】
延滞中の割賦金額(利息を除く)に対し、返還期日の翌日から返還した日までの日数に応じて、平成26年3月27日まで:年10.0%、平成26年3月28日~令和2年3月27日まで:年5.0%、令和2年3月28日以降:年3.0%
【平成10年3月以降に貸与が終了 延滞中の割賦金額(利息を除く)に対し、返還期日の翌日から返還した日までの日数に応じて、平成26年3月27日まで:10.0%、平成26年3月28日~令和2年3月27日まで:5.0%、令和2年3月28日以降:3.0%

 

信用情報機関に登録される

奨学金を返済できず、延滞が3ヶ月以上続くと、信用情報機関に個人信用情報が登録されます。クレジットカードやローンの審査を行う際に、申込者の経済的信用を確認するために参照するのが個人信用情報です。過去の延滞が理由で「同様のトラブルを起こすかもしれない」と懸念されてしまい、ローン契約やクレジットカードの作成ができなくなる場合があります。
 
個人信用情報に情報が登録されると、延滞を解消しても一定期間(返還完了から5年間)は削除されません。住宅や自動車といった高額な買い物をする際には、ローン契約ができず現金での支払いを余儀なくされます。

 

奨学金の返還が難しい場合に利用したい制度

奨学金の返済が難しい場合は、以下の制度を利用して返還額を減額してもらう、返還期限に猶予をもらうなどしてください。
 

・減額返還制度
・返還期限猶予制度

 
制度の概要を解説しますので、奨学金の返還に悩む前に適切な制度の申請手続きを進めましょう。

 

減額返還制度

災害、傷病、経済的困窮、失業などの理由で、約定どおりに奨学金の返還ができない、かつ減額すれば返還可能である人は、減額返還制度を利用可能です。当初の返還月額を2分の1または3分の1に減額できますが、奨学金の返還が困難な理由が経済的困窮の場合は、以下のように所得制限を設けています。
 

・所得証明書等の年間収入金額325万円以下
※給与所得以外の所得を含む場合は、年間所得金額225万円以下
※本人の被扶養者について、1人当たり38万円を収入・所得金額から控除可能

 

返還期限猶予制度

災害、傷病、経済困難、経済的困窮、失業などの理由で、奨学金の返還が困難な場合は、返還期限猶予制度によって返還期限を猶予してもらえます。審査で承認された期間に限り、奨学金の返還は不要です。
 
ただし、返還期間を猶予してもらえるだけで、返還義務がなくなるわけではありません。あくまでも、返還期限を一定期間先送りする制度であることを理解したうえで、申請手続きを行いましょう。

 

奨学金の返還が難しい場合は放置せず早めに相談や対策を検討しよう

奨学金を借りて大学へ進学したにも関わらず、期日どおりに返還できるかどうかは分かりません。給料が少なく、さまざまな支出があって奨学金を返還するための資金を用意できないケースも十分に考えられます。しかし、奨学金の返還ができない場合、延滞金の発生や個人信用情報へ延滞情報が登録されることを避けられません。
 
奨学金の返還が難しいと分かったら、放置せずに、減額返還制度や返還期限猶予制度の申請手続きを検討しましょう。

 

出典

独立行政法人日本学生支援機構 返還金の回収状況及び令和2年度業務実績の評価について
独立行政法人日本学生支援機構 延滞金
独立行政法人日本学生支援機構 返還を待ってもらう(返還期限猶予)
独立行政法人日本学生支援機構 月々の返還額を少なくする(減額返還制度)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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