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離婚します。子どもが2人いるのですが、養育費はどのように計算しますか?書面に残すべきですか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年3月17日 9時40分

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A子さんは近々夫と離婚します。子どもが2人いて親権はA子さんが取るため、養育費について話し合うことになりました。A子さんも夫も会社員です。養育費はどのように計算するのか、口約束ではなく書面で残しておくべきなのか、知りたいということで相談にいらっしゃいました。

養育費とは?

養育費とは、子どもが社会的・経済的に自立するまでの間に、子どもの生活や教育に必要となる費用であり、衣食住に必要な経費・教育費・医療費のほか、常識の範囲で必要と考えられるおこづかいやおもちゃ代なども含まれます。
 
夫婦が離婚して母親が親権を取ったとしても、父親が子どもの親であることに変わりはありません。そのため、子どもと離れて暮らす父親にも養育費を支払い続ける必要があるのです。
 

養育費の決め方

A子さん夫婦が新しい生活をスムーズに始め、子どもたちが健やかに成長していくためにも、養育費の金額や支払期間、支払方法などはできるだけ離婚の前にしっかり決めておきましょう。
 
(1)金額
養育費の金額は、基本的には双方の収入などに応じて、夫婦で話し合って決めます。目安としては裁判所が公表している「算定表」(※1)を参考にするとよいでしょう。
 
「算定表」では子どもの人数と年齢(0~14歳または15歳以上)、夫婦双方の収入によって、目安となる養育費の金額が示されています。A子さん夫婦には14歳以下の子どもが2人います。夫は年収600万円、A子さんは年収300万円とすると、養育費の目安は月6~8万円です(※2)。
 
ただし、この金額は一般的に必要と考えられる金額で設定されているので、私立学校へ進学する場合にかかる費用などは考慮されていません。養育費は個別具体的な状況に応じて決められるものであり、双方が納得すれば増額は可能です。子どもの教育に関して希望がある場合などは話し合って決めましょう。
 
また、算定表でも子どもが「0~14歳」より「15歳以上」のほうが高額に設定されているのですが、子どもが成長すれば教育費などが多くかかるようになります。子どもの成長に応じて養育費を増額してもらえるよう、交渉してもよいでしょう。
 
(2)支払期間
養育費の支払期間は、離婚した直後から子どもが社会的・経済的に独立するまでです。子どもが成人したら、すなわち18歳になったら支払わなくてよいという考えもありますが、大学や専門学校に進学する場合、在学期間は自分で働いて収入を得ることが難しいため、卒業まで養育費を支払うことも多いようです。
 
文部科学省の「令和5年度学校基本統計(学校基本調査の結果)」によれば、令和5年に高校を卒業した学生のうち、約8割が大学や専門学校に進路を決めています(※3)。大学等に進学した場合の養育費についても、最初に話し合って取り決めておくのがよいでしょう。
 
(3)支払方法
一般に、養育費は毎月、銀行振込で支払われることが多いようですが、話し合いで双方が納得すれば、まとまった金額で支払ってもらうこともできます。養育費の月額と支払時期(毎月末までなど)、振込先の銀行口座をしっかり決めておきましょう。
 

揉めてしまったら?

揉めてしまって話がまとまらないことや、相手が話し合いに応じてくれないことがあるかもしれません。そのようなときは、家庭裁判所に家事調停の申立をすれば、調停委員が間に入って話し合いの場を設けることができます。
 
そこでも決まらない場合は家事審判手続きに移行し、裁判で決めることもできます。ただ子どもたちのためにも、そのような揉めごとにするのは避けたいものです。
 

書類に残す?

養育費に関して話し合って決めたことは、必ず書面に残すようにしましょう。養育費の支払いは、長期間続きます。口約束だけでは、双方の記憶に食い違いが生じてトラブルになることが心配されます。できれば、公正証書にしておくと安心です。
 
公正証書は、公正役場で公証人に作成してもらう文書で、公文書として扱われるため信頼性が高いのです。相手が養育費を支払ってくれなくなった場合にも、一定の条件を満たす公正証書があれば、強制執行の手続きをして支払ってもらうことができます。
 

養育費の金額を変更することはできる?

養育費の支払いが10年、20年と続けば、お互いの経済状況等が変化することもあるでしょう。例えば、子どもが大きな病気にかかった場合や、受け取る側が何らかの事情で収入が減ってしまった場合、支払う側が再婚して扶養家族が増えた場合などが挙げられます。
 
一度決めた養育費の額でも変更できることがあります。方法としては、双方で直接会って話し合うか、それが難しい場合には家庭裁判所に申立をして家事調停や家事審判に頼る方法があります。
 

まとめ

A子さんは「養育費の取り決めについて金額の目安や公正証書の重要性など、ひととおり分かったので落ち着いて夫と話せます」と少し安心されたようでした。もっと専門的なことが知りたい場合や、揉めてしまってどうしてよいか分からない場合は、「法テラス(日本司法支援センター)」(※4)に相談することも提案して相談を終えました。
 
小さな子どもを抱えての離婚は、初めての経験で分からないことが多く、とても不安だと思います。しかし、子どもたちにとっても両親の離婚はつらいことに違いありません。子どもたちがつらい経験を乗り越えて健やかに成長していくためにも、養育費の取り決めはしっかり話し合い、文書(できれば公正証書)にして残しておきましょう。
 

出典

(※1)裁判所 平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について
(※2)裁判所 平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について (表3)養育費・子2人表(第1子及び第2子0~14歳)
(※3)文部科学省 令和5年度学校基本統計(学校基本調査の結果)
(※4)日本司法支援センター 法テラス かんたん解説「法テラス」
 
執筆者:蟹山淳子
CFP(R)認定者

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