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職場からいきなり雇用契約書にサインを求められたけど、サインしていいの? 2024年4月、労働条件の明示方法が変わる……労働者ができる備えとは? 後編

ファイナンシャルフィールド / 2024年4月7日 1時40分

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「前編」(※1)に引き続き、2024年4月に改正が予定されている労働条件の明示方法について解説するとともに、パート・アルバイトが知っておくべくポイントをお話しします。   明示しなければならないのは会社だから、自分には関係ないと思われるかもしれませんが、労働者側にも備えは必要です。労働者側も明示された事項を確認し、不備があれば勤務先に説明が求められるような知識があれば、自分を守ることにもつながるのです。

有期雇用契約者が利用できる無期雇用転換制度

「無期転換ルール」という言葉を聞いたことはあるかもしれませんが、「この制度を使ったことがある」というのは筆者もあまり聞きません。ここで有期雇用労働者が利用できる無期転換ルールについておさらいをしておきましょう。
 
この無期転換ルールとは、同一の企業との間で有期雇用の労働契約が5年を超えて更新された時に、契約社員やパート(呼称は問いません)からの申し込みで、無期雇用の労働者になることができるという制度のことをいいます。
 
契約期間が毎年1年ごとに更新されている方でも、5回目の更新後の1年間に申込権が発生します。これは、労働契約法という法律に明記されている事項ですから、企業側が申し込みされた時には、断ることができません。
 
ただ、通算契約期間のリセット(いわゆる「クーリング」)はあり、6ヶ月以上(※2)契約期間がない場合には、再雇用することは可能です。また、この申し込み後、必ずしも労働条件を変える必要はありません。「有期」と期間を区切られていないことにより、次の職を探す必要がない雇用の安定にはつながるという点がメリットといえます。
 
(※2)無契約期間の前の通算契約期間により、1ヶ月から6ヶ月の幅あり
 

パートが確認しておくべき、更新するときのチェックポイント

パートとして働いているということは、子育てや介護など、フルタイムで就業できない何らかの理由があるケースもあり、パートの労働条件を最初から細かく決めるというのはなかなか難しいものです。とりあえず時給や労働日を記載した労働条件通知書をわたされることもあるでしょう。
 
当初しっかりと埋まっていないものを渡されたとしても、更新の都度、「空白部分はちゃんと埋まっているのか」「次回の更新条件は? 更新がそもそもあるのか」「通算契約期間の定めはあるのか」など、詳細が記載されているのかはしっかりと見ておきましょう。
 
パートの労働条件はついつい口約束になってしまうケースもあるかもしれませんが、「書面で確認する」習慣をつけておくといいでしょう。前段の無期雇用転換の申し込み機会が発生した時の明示についても、書面ですることが必要です。労働者の希望により、メールなどで明示することも可能ですが、いずれにせよ証拠が残る形式にする必要はあります。
 

その他の留意事項。保険や相談窓口の情報もしっかりと見ておきたい

「前編」で参考例として挙げている労働条件通知書については、雇用保険加入の有無や健康保険・厚生年金加入の有無、相談窓口についても記載する欄があることにも注目してください。
 
いわゆる社会保険とひと言でいっても、働いている場合には、労働者災害補償保険、雇用保険、健康保険、介護保険、厚生年金保険など、複数の保険が含まれています。社会保険に加入することは、その中の「どの公的保険」に加入する条件なのかは確認してください。
 
保険に加入すると保険料が控除されますから手取りが減るのを嫌がる方もいますが、雇用保険の加入はぜひパートでも検討していただきたい点です。特に雇用保険については、教育訓練給付の改正など、「失業したとき」だけではない利用方法もメリットが見込まれます。
 
雇用保険は、現在、週20時間以上働き、31日以上の雇用見込みがある人が対象です。ただし、将来的に、どこまで要件を緩和するか調整するか審議するという報道もされています(出典:厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」)。
 
今後は、20時間未満の場合も採用時からすぐに雇用保険加入を勧められるケースもあるでしょう。「パート社員」などの名称だけでなく、保険の加入の有無、もしくは何かあった時の相談窓口など、労働条件通知書の中に記載されているさまざまな項目にも目を通しておきたいものです。
 
今回の改正は企業側だけでなく、労働者の意識も変えていくべき必要がある改正だといえるでしょう。雇用契約書もしくは労働条件通知書、今後はぜひしっかりと読み込んでみるのはいかがでしょうか。
 

出典

(※1)ファイナンシャルフィールド 2024年4月、労働条件の明示方法が変わります。労働者ができる備えとは? 前編
(※3)厚生労働省 雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱
 
執筆者:當舎緑
社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

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