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62歳会社員です。退職して「44年特例の年金」をもらうのと、65歳の「定年退職」ではどちらがお得でしょうか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年4月7日 2時30分

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定年前の62歳で退職し「44年特例の年金」を受給するのと、65歳まで働き定年退職するのでは、その後の収入や生活設計などの面でさまざまな違いが出るでしょう。   そこで今回は、それぞれを選択することによってどのような違いがあるのか、またどちらがお得なのかを比較してみました。

44年特例とは?

44年特例とは、一定の条件下で厚生年金の加入期間が44年以上ある場合に、65歳になる前に老齢厚生年金の報酬比例部分に加えて定額部分も上乗せして受け取れる制度です。
厚生年金の被保険者ではなくなった人が対象で、被保険者でなくなった月の翌月分から受け取れます。
 
65歳の定年前に退職しても、年金受給が始まるまでの間の収入が確保でき、生活費の補てんが可能になる制度といえるでしょう。
 
また、特例に該当する人に子どもや配偶者がいる場合は、指定の手続きを済ませることで「加給年金」の分も加算されます。
44年特例が適用される条件は以下の通りです。

●特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分を受給している
●厚生年金保険に44年以上加入している
●会社員や公務員をすでに退職して、無職あるいは個人事業主などになっている(厚生年金の被保険者ではなくなっている)

厚生年金の加入期間が44年以上あっても、途中で転職した(民間企業から公務員など)場合、被保険者期間の合算が行われない点に注意する必要があります。
 

44年特例の受給額の目安

44年特例で上乗せできる定額部分の金額(昭和31年4月2日以後生まれの方)は、「1701円×生年月日に応じた率(定額単価=1)×被保険者期間の月数(480)」=81万6480円(令和6年度の場合)です。
 
なお加給年金の対象者がいる場合、65歳までの配偶者と2人目の子までは一人当たり23万4800円(3人目以降の子は各7万8300円)が、さらに配偶者の加給年金額には老齢厚生年金を受けている方の生年月日によって特別加算額も加算されます。
 
また、65歳より前に年金を繰上げ受給すると、1ヶ月早く受け取るごとに0.5%(昭和37年4月2日以降の方は0.4%)が減額されることも覚えておきましょう。
 

「44年特例の利用」と「65歳で定年退職」どちらがお得なのか?

一見「44年特例」はお得のように感じられますが、注意すべき点もあります。
主な注意点としては、以下のものが考えられます。

●働き続ける場合と比べて収入が減少する可能性がある
●失業手当を受給すると44年特例が受けられなくなる
●健康保険の負担割合が増える可能性がある

前述した通り、繰上げ受給の減額分を考慮しなかった場合44年特例の定額部分だけで年間82万円ほど支給されると予想できますが、実際に月収30万円であれば、月収分だけで年間360万円の給与収入があります。
さらに、定年退職前に仕事を辞めた場合、失業手当の受給資格も得られますが、失業手当を受給すると44年特例は受けられません。
このことから、たとえ44年特定を利用して加給年金などが上乗せされたとしても、働き続けた場合の収入を下回る可能性が高いといえるでしょう。
 
実際に「44年特例の利用」と「65歳で定年退職」のどちらがお得かは、正しく計算してみないと分かりません。
年齢や厚生年金保険の加入期間によって、受給できる年金には大きな差が見られます。
判断に迷う際には、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談してみるとよいでしょう。
 

収入面では働き続けるほうがお得な可能性が高い。退職は慎重に

44年特例のメリットは定額部分が上乗せされ、加給年金が加わるとさらに受給額が増える点です。
ただし定年退職前に仕事を辞めた場合、給与収入よりも44年特例で受け取れる年金のほうが少なくなる可能性があります。
さらに失業手当を受ける場合、年金と同時には受け取れない点に注意しましょう。
 
62歳で退職し、現役時代より収入が減っても時間的に余裕がある生活を取るか、65歳まで働き続けるかは、個人の生活設計や収入の必要性、働き続けたい意欲などを考慮して選択しましょう。
 

出典

日本年金機構 44年以上厚生年金保険に加入している特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給者が、退職などで被保険者でなくなったとき
日本年金機構 加給年金額を受けられるようになったとき
日本年金機構 年金用語集 た行 定額部分
日本年金機構 定額部分の単価
日本年金機構 加給年金額と振替加算
日本年金機構 年金の繰上げ受給
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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