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親が認知症にならないか心配です。私が「後見人」になれば預金も引き出せますか?

ファイナンシャルフィールド / 2024年4月11日 1時40分

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高齢の親を持つ人のなかには、親が認知症になると預金が凍結されて、本人の生活費や医療費のためのお金さえ引き出すのが難しくなると知って、不安を感じている人も多いのではないでしょうか。一度凍結された預金を引き出すには、成年後見人をつける必要があります。   それでは、家族が後見人になれば、自由に親の預金を出し入れできるようになるのでしょうか。本記事では、家族は後見人になれるのか、後見人になるために費用はどれくらいかかるのかを分かりやすくまとめました。

そもそも家族は後見人になれる?

成年後見制度とは、認知症や知的障害などの理由で判断力が十分でなく、財産管理やさまざまな契約などの法律行為を単独で行うのが難しい人を法的に保護して、意志決定の支援を行う制度です。成年後見制度のもと、被後見人の保護や支援を行う人を成年後見人と言います。
 
被後見人の家族が成年後見人になることは、ルール上可能です。成年後見人はどのように決まるのか、成年後見制度の2つの類型である「法定後見制度」「任意後見制度」それぞれについて解説します。
 

法定後見制度では家庭裁判所が成年後見人等を選任する

法定後見制度では、本人の判断能力の状態に応じて、権限の範囲が異なる「後見人」「保佐人」「補助人」のいずれか(以下成年後見人等)が選任されます。
 
成年後見人等は個別の事情に応じて家庭裁判所が選任します。家族が後見人に「なりたい」と言っても100%なれるとは限りません。家庭裁判所が最良だと判断すれば、弁護士や福祉の専門家などの第三者が成年後見人に選ばれることもあります。現に、最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況」によると、令和4年の制度利用件数のうち、8割以上で第三者が成年後見人等に選ばれています。
 
ただし、成年後見制度の利用を申し立てる際には、成年後見人等の候補者を指名可能です。家族・親族を候補者にしている場合にはその8割以上で家族・親族が成年後見人等に指名されています。
 

任意後見制度では家族を成年後見人に指名できるが後見監督人がつく

任意後見制度とは、本人の判断能力が正常なうちに契約書で後見人になる人(任意後見受任者)や後見人の権限の範囲を本人の意志で決めておき、本人の判断能力が失われたときに契約を発効する制度です。後見人を本人が指名できるため、家族を後見人にすることも可能です。
 
ただし、任意後見を開始するには、後見人が適切に業務を遂行しているかどうかを監督する、任意後見監督人を選任しなければなりません。任意後見監督人には家庭裁判所が選任した第三者がなるため、家族が後見人になったとしても、家族だけで自由に財産を管理できるのではない点に注意が必要です。
 

成年後見人になると被後見人のために使うお金を預金から下ろせる

成年後見人には、被後見人の財産を管理することが正当な権限として認められています。親の成年後見人になれば「本人の利益を守ること」を逸脱しない範囲で、本人の生活費などを預金から引き出すことが可能です。
 
ただし、後見人として親の預金を管理するには、銀行で「後見の設定」の手続きをして、通帳等の名義を被後見人である親と後見人である家族の連名に書き換えなければなりません。家族だからといって、手続きを経ずに預金を勝手に出し入れすることはできないため注意しましょう。
 

成年後見人になるのに必要な費用

成年後見人になるには、成年後見制度の利用を申し立てるための費用が必要です。法定後見制度の場合、次のような費用がかかります。

・申立手数料(収入印紙):800円
 
・登記手数料(収入印紙):2600円
 
・郵便切手代
 
・必要書類の取得費用
 
・医師の鑑定料:~10万円程度

成年後見人には通常、報酬(月額2万円~)を支払う必要がありますが、家族が成年後見人になった場合には無収入である場合が多いようです。
 
任意後見制度の場合は、任意後見監督人の選任を申し立てる費用が必要です。

・申立手数料(収入印紙):800円
 
・登記手数料(収入印紙):1400円
 
・郵便切手代
 
・必要書類の取得費用

また、任意後見監督人に報酬を支払わなければなりません。報酬の目安は次のとおりです。

・財産管理額が5000万円以下:月額1~2万円
 
・管理財産額5000万円超:月額2万5000円~3万円

成年後見人になることは認知症の家族の預金を管理する有効な手段

認知症の親の成年後見人になると、親の生活費や医療費などの支払いのために預金を下ろす権限が得られるほか、契約の代理や不当な契約の取り消しなども行えるようになります。後見人になるための申し立て費用は数千円程度で、家族間であれば高額な報酬も発生しません。
 
親が認知症になって預貯金の引き出しができなくなったり、財産をきちんと管理できず不利益を被る不安があったりする場合は、家族が後見人となって、財産管理をサポートする方法を検討するとよいでしょう。
 

出典

厚生労働省 ご本人・家族・地域のみなさまへ(成年後見制度とは)
厚生労働省 成年後見人等の選任と役割
任意後見制度とは(手続の流れ、費用)
厚生労働省 法定後見制度とは(手続の流れ、費用)
法務省 Q3~Q15 「法定後見制度について」
一般社団法人 全国銀行協会 成年後見人は銀行に届出を | F.銀行で手続き
裁判所 成年後見関係事件の概況
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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