都内在住32歳「年収300万円」で生活はギリギリです。「家賃8万円」だと高すぎますか? ほかの県などへ引っ越すべきでしょうか…?
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月14日 4時30分
年収が300万円以下だと「低年収」と見なされることもあります。300万円程度から年収が一向に上がらないのに昨今は物価がどんどん高くなり、生活に不安を感じている人も多いのではないでしょうか。 本記事では年収300万円前後の世帯が東京で生活を続けるために、とるべき対策などを解説します。
東京都の勤労者世帯の平均年収は約820万円
東京都統計局が公表している「東京都生計分析調査報告(年報)令和4年」によると、東京都の勤労者世帯の1ヶ月当たりの平均収入は「68万4038円」です。単純に考えると、この金額に12を乗じ、平均世帯年収は約820万円と計算されます。
年次ごとの実収入と消費支出の推移は図表1のようになっています。
図表1
東京都の統計 「都民のくらしむき」東京都生計分析調査報告(年報)令和4年
平成25年からの推移をみると東京都の消費支出は35万円程度で横ばいでしたが、実収入はここ10年で50万円台後半から70万円台前半に増加しています。年収300万円という数字は、いまの東京都の平均世帯年収を大幅に下回っているということになります。
東京都の年収300万円以下の生活費は平均して20万4797円
「東京都生計分析調査報告(年報)令和4年」では、年収400万円未満の世帯の消費支出(生活費)の平均が公表されています。年収300万円の世帯とは額が異なる可能性もありますが、大まかな生活費をイメージすることは可能でしょう、
東京都の年収400万円未満世帯の平均的な生活費は図表2のようになっています。
図表2
東京都統計局 東京都生計分析調査報告(年報)令和4年を基に筆者作成
「年収300万円」はあくまでも総支給額であるため、実際に使えるお金は「手取り額」で考える必要があります。年収の80%が手取り額と仮定すると、年収300万円の人が生活費の支払いで使える金額は約240万円です。
図表2では、東京都の年収400万円未満の世帯の生活費は平均23万8889円でした。年間にすると286万6668円となり、手取り240万円では平均的な生活費をカバーできない可能性があります。
年収300万円の人は生活費が都心よりも安い郊外や地方に移住するか、収入や支出を見直す必要性が高いといえます。
年収300万円の人が東京で住み続けるための対策
年収300万円の人が東京に住み続けたいと考える場合、収入を上げる、支出を切り詰めるといった対策を考えましょう。
住居費を安く抑える
支出を抑えるには、毎月一定の金額を負担し続ける固定費を安くすることが有効です。一度見直すことができれば、今後ずっと節約の効果が持続します。
特に効果が大きいのは家賃などの「住居費用」です。「東京都生計分析調査報告(年報)令和4年」の年収400万円未満の世帯の支出では住居費用が3万663円でしたが、賃貸住宅に住んでいると負担はもっと大きくなります。
消費者向け不動産情報提供サイト・ハトマークサイトの全国統計データ(2024年4月11日時点)によれば、新宿区では1Kまたは1LDKのアパートの賃料平均は8万8900円です。月の手取りの約4割を家賃が占めるとなると長く生活を続けるのは難しいでしょう。
一方、同じ東京都でも八王子市なら4万300円、町田市なら4万5700円と大幅に下がります。通勤に支障がない範囲で郊外に引っ越しをすれば、生活費に余裕が出て長期的に暮らしやすくなるでしょう。
実家が東京都内にあれば戻ることも選択肢の1つです。実家であれば家賃の負担がなくなり、限られた年収でも自由に使える金額が大きく増加します。
転職する
いまの会社で昇進や昇給が望めない場合、転職するのも選択肢の1つです。給与テーブルは企業ごとに全く異なるため、転職することで大幅な年収増につながることもあります。
国税庁が公表している「民間給与実態統計調査」によれば、業種別で平均年収が最も高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」の747万円でした。次いで「金融業・保険業」の656万円、「情報通信業」の632万円と続きます。
一方、「宿泊業・飲食サービス業」の平均は268万円、「農林水産・鉱業」は337万円、「サービス業」は377万円と業種によって平均給与が全く異なります。
いまは低年収の業界で働いている人は、平均給与が高い業種に転職することで大幅に年収アップになる可能性もあります。
まとめ
東京都に住む年収400万円以下の世帯の平均的な消費支出は年間約240万円で、年収300万円の手取り額とほぼ同じです。働いて得た手取りが全て生活費になると貯金が思うようにできず、物価高の影響で食費や光熱費が上昇すると生活ができなくなる可能性があります。
東京に住み続けるなら転職などで収入を増やす、家賃をはじめとした固定費を削減するなど、手取り額を増やす取り組みを早いうちから進めましょう。
出典
東京都 東京都の統計「都民のくらしむき」東京都生計分析調査報告(年報)令和4年
東京都統計局 「都民のくらしむき」東京都生計分析調査報告(年報) 令和4年 家計収支の概況
ハトマークサイト 全国統計データ 賃料相場:東京都
国税庁 令和4年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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