保障内容は変えずに保険料を安くする保険料削減の5つの方法
ファイナンシャルフィールド / 2019年1月23日 22時30分
時代とともにどんどん新しい商品が発売されている保険。ご自分の加入している保険はベストでしょうか? 切り替えたら条件が良くなることはないのでしょうか?保障の内容を下げると当然保険料は下がりますが、今回は内容を変更せずに支払う保険料を安くする方法を5つ考えてみました。
(1)標準生命表の改定
2018年4月に公益社団法人日本アクチュアリー会の「標準生命表」が、約11年ぶりに改定になりました。これは性別・年齢別に死亡率や平均余命をまとめたものです。
どの保険会社も生命保険の保険料を算出するうえで、この標準生命表を使っています。前回よりも死亡率は下がり、平均余命も長くなっています。長生きする方が多くなったわけですね。
ということは、生命保険の中の特に死亡したときに保険金が出る終身保険や定期保険などが安くなる傾向にあります。2018年3月以前に加入した方は、現在の保険の方が安くなっているかもしれません。
特に定期保険(収入保障保険なども含む)は、保険料削減できる可能性がありますので確認してみるといいでしょう。
(2)割引制度
まずは喫煙についてです。加入したときは喫煙していたが、今は禁煙しているという方は見直しのチャンスです。
死亡保険でタバコを吸わない方が受けられる非喫煙割引の区分のある商品があります。条件としては禁煙してから基本的には1年の経過が必要です(2年の会社もあり)。診査は簡単で唾液検査だけです。
その他に、健康体、優良体などと呼ばれる割引もあります。基準は下記の通りです。
・BMIが18から27の範囲であること。BMIの計算方法は、体重kg ÷ (身長m)2
例えば、身長160cmなら47~69キログラム、170センチなら53~78キログラムが範囲内の体重になります。
・最高血圧値140mmHg未満かつ最低血圧値90mmHg未満
また、加入したときは該当しないけど、加入した後に禁煙したり、適正体重になったりした場合に割引を適用できる商品もあります。禁煙してBMIも血圧も範囲内であれば、標準生命表の改定と合わせて相当の割引を受けられるかもしれません。該当する方はぜひ確認してみてください。
(3)団体保険
団体保険とは、会社の福利厚生の一環で、会社やグループ会社を団体として団体割引があり個人で加入するより保険料が割安になっています。
加入している会社の従業員には、基本的に年に1回、説明の書類が送付されます。死亡保障では、年に1回剰余金が還付される場合もあります。これは嬉しいですね。お勤めの会社に団体保険の制度があれば、一度確認してみてみるとよいでしょう。従業員のための福利厚生制度ですから、メリットのある部分は利用しましょう。
ただ、退職すると継続できない場合もあることは注意しておいてください。団体保険に関しては、過去の記事で詳しく書いています。ご参照ください。
ファイナンシャルフィールド『会社の「団体保険」って結局どうなの? 個人で入る保険との違い』
(4)期間を短くする
ここでは医療保険について考えてみたいと思います。保険を選ぶときにいつまでかけるかという期間を選ぶことができます。期間は大きく分けて終身型と定期型の2つ。終身型は生きている間ずっと保障があるもので、定期型は期間限定です。
A保険会社の保険料を参考に見てみましょう。
40歳男性の場合、終身型と定期型の保険料の差額が2,560円です。この差額を10年間貯蓄したとしたら、約30万円にもなります。
保険に加入する目的のひとつが、今何かが起きた時に困らないためです。終身型も定期型も保障内容は同じなので、今日入院したとしても受け取れる保険金は同じです。保障期間はありますが、現在の保険料を安く抑えたいという目的でしたら、定期型でもよさそうですね。
もし、定期型に加入していて期間中に大病を患ってしまい、新たに保険に加入できないような状態になったとします。しかし、10年後満期が来たら自動で更新されますので、病気を理由に更新できないということはありません(払込金額が変わる場合があります)。
ただ、更新できない年齢、例えば80歳までしか更新できないなどの制約は各社あります。入院や手術の確率は、年齢とともに上がります。そうすると、当然ですが、保険料も年々右肩上がりになります。
終身型は、その保険料を平均化してずっと一定の保険料にしています。60歳70歳80歳とだんだん高くなる保険料の一部を、今負担しているようなものですが、支払い続ける金額が変わらないという安心感はあります。
一方、10年定期型は、10年間だけの保険料を平均化しており、10年より先の保険料は更新の際に保険料上がることが多くなります(女性の場合は、妊娠・出産で保険金を支払う確率が増えるので、表のように40歳より30歳の方が高くなることもあります)。
これは定期型のデメリットとしてよく取り上げられますが、保険業界では毎年どこかの会社で定期型の新商品が発売されていて、現在の医療制度に合わせた商品になっている場合もあります。現在加入の商品よりも新商品の方が、自分に合っているということもよくあります。
現在の契約をやめて新商品に加入することもあるでしょう。その時に切り替えやすいのは、期間を決めて保険料を払い過ぎない定期型かもしれません(ただし、加入する年齢によって金額が変わる場合もあります)。
定期型の医療保険を販売していない会社もあるので確認が必要です。切り替えの際に終身型にする場合は、支払いを“60歳まで”などの短期にすると「今まで払った保険料がもったいない」と新しい保険に切り替えにくくなると思います。
(5)保険料の払込方法
同じ保障内容でも払込方法で金額が変わる場合があります。同じ保障内容でも保険料は、年払い<半年払い<月払いとなります。年の保険料を月払いにすると分割の割増がとられますので、年払いにできる余裕があれば、年に1回で払った方が安くなります。
これは、現在加入の保険を変更する場合も同じです。月払いから年払いに払込の変更をする場合は、変更できる日が決まっていることが多いので確認してみてください。また、クレジット払いにするとポイント加算の対象になることもありますし、併せて検討されてみてはいかがでしょうか。
まとめ
何か該当する項目はありましたか?解約返戻金がない、いわゆる“掛け捨て”保険であれば貯蓄性はゼロです。ならば必要な保障はなるべく安い保険料で確保し、節約できた分をできるだけ貯蓄や資産形成にまわして将来に備える方が得策です。
2018年標準生命表でみると、亡くなる確率は30歳男性で0.041%です。平均余命も約51年。亡くなる可能性より生きている可能性の方が圧倒的に多いのです。亡くなってしまうなどの不測の事態への準備は保険で、長生きの準備にはiDeCoやNISAなどを活用するなど、しっかり資産形成していきましょう。
公的保険のチェックもお忘れなく! 保険は公的保険だけでは不足する部分を民間保険で補うのがベストです。
参考:公益社団法人日本アクチュアリー会「標準生命表2018」
執筆者:田中栄二(たなか えいじ)
AFP認定者
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