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【FP解説】年収によって住宅ローンの借入額はどのぐらい?借入限度額は何割まで?徹底解説

ファイナンシャルフィールド / 2019年7月4日 1時37分

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マイホームは、一生に一度であろう大きな金額が動く買い物です。そのため、マイホームにかけるお金を下手に妥協して後々まで残る後悔を抱えたくないと、考えてしまうこともあります。   しかし、理想を追い求めすぎると、返済が大きな負担になってしまう恐れもあります。   マイホームの返済率には金融機関の設定する一定の目安がありますが、本当にこの目安の上限いっぱいで住宅ローンを利用しても問題はないのでしょうか?一世一代の買い物だからこそ、間違いのないマイホーム購入をするにあたり、賢く住宅ローンを使う必要があります。   今回は住宅ローンを利用する場合の、様々なポイントについてご説明させていただきます。  

年収別、住宅ローンの借入額の基準

住宅ローンには「返済負担額」というものがあります。年収とローン返済額の割合が、借入額を決定するための要因になるのです。
 
返済負担額は、カードローンやマイカーローン、融資型奨学金などの様々なローンが合算され、住宅ローンの借入額の上限が設定されることになります。つまり、年収が高く、他のローンの利用額が小さいほど、住宅ローンの借入額の基準が高くなります。
 
例えば、住宅ローンの融資期間35年を全て固定金利で利用できる「フラット35」では、年収400万円を境に返済負担率の基準が変更され、住宅ローンの借入額が増加します。
 

(参考:フラット35の年収別返済負担率の基準)
・年収400万円未満の返済負担率は30%以下
・年収400万円以上の返済負担率は35%以下

 

年収以外での借入限度額の評価ポイント

年収以外にも住宅ローンの融資決定に関わる判断要素がいくつか存在します。
 
住宅ローンを契約しようとする金融機関の審査によっては、年収が高くてもフリーターなどで給与所得者としての身分の保証が比較的弱い場合や、収入が不安定な場合などは、借入額が少なくなるなどの制限が加わる可能性があります。
 
また、住宅ローンの主な契約先として「銀行」が選ばれることが多いのですが、銀行にはメガバンク・地方銀行・ネット銀行などいくつかの選択肢が存在し、勤務先の規模や所在地によって借入限度額や融資条件に影響が出ることもあります。
 
住宅ローンなどの融資審査は、金融機関ごとの個体差があるので、複数の種類の銀行に審査申込を行い、融資条件の比較・検討を行うことが大切です。
 
住宅ローンを利用する上で、収入以外に考慮すべき大事なことがあります。それは、住宅ローン契約者の「健康状態」です。
 
金融機関の住宅ローン融資は、契約者の死亡時に融資した資金を回収できるように団体信用生命保険(通称:団信)に加入しますが、既往症や健康状態などによって団信に加入できない場合、住宅ローンの融資を受けることができなくなってしまいます。
 
団信は申込時に介護・三大疾病を含むか否かにより、保証範囲に応じた健康状態を告知する必要があります。団信の主な告知事項は、三か月以内の医師の治療・投薬の有無、過去3年以内に脳・心肺系・消化器系などの病気による治療・手術の有無、自律神経失調症・うつ病・アルコール依存症などの神経・精神面での病気も告知の対象になっています。
 
告知事項に抵触した場合でも、直ちに団信が利用できなくなるわけではありませんが、年齢を重ねれば告知事項に抵触する項目が増えていく恐れもありますので、住宅ローンの利用を考えている場合は、なるべく若く、健康なうちに検討すると良いでしょう。
 
また、告知事項は各金融機関によって異なりますので気になる方は各金融機関のHPで確認してみてください。
 
なお、フラット35は団信の加入義務はありません。健康状態に不安のある場合は申込を行うことができます。
 

金利タイプによっても限度額は変わるの?

住宅ローンの金利タイプとして、金利動向の影響を受ける「変動型」と、任意の期間は金利を固定してそれ以後は変動型にシフトする「固定期間選択型」、融資期間中を固定金利にする「全期間固定型」の3種類に大別されます。
 
返済負担率は、元金と利息の両方を合算し、年収との割合を評価されるため、金利が低いほうが借入限度額が高くなります。金利タイプによって適用される金利が異なるため、借入限度額はそれぞれ異なります。
 
金利水準は概して、変動金利<固定期間選択型<全期間固定型の順に高くなります。変動型が最も多額の借入を行うことができますが、金利が上昇したときは返済計画への影響も大きくなってしまうというデメリットもあります。
 
万が一の際は、繰り上げ返済をして金利による影響を吸収するなどのリスクコントロールを行うために、現金を多めに用意しておくことがお勧めです。
 

夫婦で借りるときは世帯収入で考えるべき?

近年はマイホーム価格が上昇傾向にあるため、稼ぎ手1人だけでは希望する借入額に達することが難しくなることがあります。
 
そこで夫婦がそれぞれ収入を得ている場合は、夫婦の年収を合算し、一つのマイホームを購入するペアローンや、配偶者間で住宅ローンの返済を保証する連帯保証・連帯債務などの方法を用いて、住宅ローンの借入額を増加させることができます。
 
夫婦が協力しあっての住宅ローンの利用は、世帯年収でライフプランを組むことができるため、返済負担率の低減による家計への好影響や、借入額の上昇によりクオリティの高いマイホームが購入できるといったメリットがあります。
 
しかし、夫婦の年収を合算して住宅ローンを組むと、もし離婚した際に、マイホームをどう取り扱うか、返済の負担はどのようにするか、などの問題が生じやすくなるといったデメリットもあります。個人収入と世帯収入とでは、住宅ローンを利用するにあたりそれぞれ一長一短がありますので、特徴を把握することが大切です。
 

限度額を借りるのではなく、実際に借りていい金額はどう計算すればいい?

返済負担率の上限まで借入ができるとしても、実際に融資限度額まで住宅ローンを利用してしまった場合、人によっては生活に大きな影響をおよぼす恐れがあります。
 
実際の統計でも、返済負担率の上限で住宅ローンを利用する人は少なくなっています。
 
では、実際に借りていい金額とはどうやって判断すればいいのでしょうか?
 
ひとつは、統計を利用する方法です。住宅金融支援機構が発表している「2018年度民間住宅ローン利用者の実態調査」によると、住宅ローンを契約している人の返済負担率で最も多いのは15%超~20%以内となっています。統計のボリュームゾーンも概ね低い返済負担率側に偏っています。
 
この資料から、住宅ローンを多くの人が安心して利用できる返済負担率は、年収の25%が上限といえそうです。
 
では、返済負担率いっぱいで借りた場合と、統計上のボリュームゾーンである返済負担率20%で借りた場合では、借入額にどれほどの開きがあるのかを例示してみます。
 

(借入額についてのシミュレーション) 

年収を450万円とし、融資条件はフラット35を使用。全期間固定金利で1.3%の金利条件とした場合。
 
・上限である返済負担率が35%の場合、借入可能額は約4,430万円です。
・統計上のボリュームゾーンである返済負担率20%の場合、借入可能額は約2,530万円です。
 
返済負担率の上限と統計上多く選ばれている返済負担率でそれぞれ計算を行った結果、その差額は1,900万円にもなりました。
 
住宅ローンの上限として設定されている返済負担率を基準に借入額を決定した場合、統計上はかなり大きな返済の負担を享受していることになってしまいます。
 
ですが、統計上多く選ばれている返済負担率では希望するマイホームが取得できないといった場合は、家計の余力を把握し、少々家計が苦しくてもなんとか返済できる返済負担率を求めていく必要があります。
 
家計の状況を把握するのには、人生における総合・長期的な資金の流入・流出を示す「マネープラン」を作成することがお勧めです。マネープランはファイナンシャルプランナーなどに依頼すれば作成してもらえます。
 
もちろん自分でも作成できますが、より精度を高めたい、第三者の意見を取り入れたいなどの要望があれば相談してみるのもいいかもしれませんね。
 
近年は住宅展示場などでファイナンシャルプランナーの有資格者を置き、来訪者の金銭的な相談にもあたっている場合がありますので、チャンスがあれば自分自身の本当の限度額を把握するためにも利用してみるのはいかがでしょう。

 

年収別、頭金、限度額のおすすめは?

マイホームの購入にあたり、頭金をいくら入れるべきかは気になるところです。多めに入れれば融資額を圧縮することができるので、返済の負担を軽減することができますし、手元に残しておけば、稼ぎ手の病気で収入が減少した際などに返済にあてることができ、万が一の時の安全弁として使えます。
 
以前は住宅価格に対し、頭金を20%程度入れていた時代もあったようですが、現在はマイホームの取得価格に対する頭金の割合は大きく減少しており、変動型・固定期間選択型の頭金の割合は0~10%にまで減少しています。
 
全期間固定型は、フラット35が頭金を10%以上入れるか否かでローン金利が変わるため、他の金利タイプと比較して頭金の割合が高くなっており、10~20%が最も多くなっています。
 
また、マイホームを取得した場合、それまでは生じなかった支出として固定資産税・修繕費・管理費などが加わります。
※修繕費・管理費が加わるのは分譲マンションのケース
 
マンションの場合は、建物の修繕に関してはある程度マンション管理組合が行ってくれますが、自室などの専有部分の設備に関しては自身で修繕を行う必要があります。
 
戸建ての場合は、修繕費がさらに分かりにくくなっています。
 
マイホームの良好な住環境を維持するためには、計画的な修繕とそのための資金の準備が必要です。マイホームには色々な機能や設備が備えられていますが、その機能を維持するための修繕周期の目安が国土交通省から発表されています。
 
マンションと戸建ての区別なく、このガイドラインを参考にして修繕計画と資金準備を行うのがお薦めです。修繕費の目安として30坪程度の延床面積の建物の場合、月額1万円程度を積み立てましょう。
 
マイホームを取得することにより新たに発生する支出もありますし、金利タイプが変動型や固定期間選択型の場合は借入額が大きいと金利変動時の影響が大きくなります。
 
限度額として返済負担率の上限を目安にした場合、住宅ローンの家計への負担が過大になる恐れがあります。限度額を設定する際のお勧めは、公的機関が発表している住宅ローンの統計を利用し、多くの人が選択している返済負担率に沿うようにすると良いでしょう。また、どうしても返済負担率の上限ギリギリで住宅ローン利用せざるを得ない場合は、家計への資金の流出入を長期的かつ定期的に監視し、リスク評価などもしながら、シビアな資金コントロールを行うべきでしょう。
 
マイホームは、住宅ローンを支払い終わるまでは抵当権を設定している金融機関の持ち物でもあります。返済が滞った場合、担保権を行使されてマイホームを売却されてしまうかもしれません。住宅ローンは、感覚などに頼らず、一定の根拠に基づいての利用をお勧めします。
 
執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)
FPオフィス Conserve&Investment代表
 

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