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厚生年金基金が実質廃止。廃止された厚生年金基金はどうなるの

ファイナンシャルフィールド / 2019年10月20日 23時15分

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サラリーマン世帯の老後生活保障の充実を図る目的で導入された厚生年金基金ですが、経済情勢の変化などから制度破綻をきたし、基金を解散して他の企業年金に移行することが求められています。   ここでは、厚生年金基金の仕組みと現状について解説します。  

厚生年金基金とは?

厚生年金基金とは、企業が単独あるいは共同して設立する法人によって、より手厚い老後保障を行うことを目的として、厚生年金保険法に基づいて設立された企業年金制度です。
 
会社員が加入する年金制度は、全国民が対象となる「国民年金」、会社員などが加入する「厚生年金」そして「企業年金」の3階建て構造になっています。
 

企業年金連合会HP「日本の年金制度の体系」より筆者作成
 
厚生年金は、国が運営する公的年金で、会社員であれば必ず加入しなければなりません。しかし、企業年金は企業が運営する私的な年金であり、全ての企業が企業年金を採用しているわけではありません。
 
そして、企業年金には、「厚生年金基金」、「確定給付企業年金」および「確定拠出企業年金」があります。
 
また、厚生年金基金は、他の企業年金とは違い、国の年金である厚生年金の一部を代行した上で、さらに独自の上乗せ給付を行う仕組みになっています。
 

企業年金連合会HP「よくあるご質問」より筆者作成
 

厚生年金基金が廃止されるわけとは?

サラリーマン世帯の老後生活の充実を目的として、1966年にスタートした厚生年金基金は、一時は厚生年金被保険者の約3分の1を占めるまでなりました。
 
しかし、その後社会経済情勢の変動やバブル崩壊後の運用環境の悪化などにより、代行部分の積み立て不足が生じるようになりました。
 
そして、2002年に施行された確定給付企業年金法により、代行部分を国に返上して、確定給付企業年金へ移行できるようになりました。
 

企業年金連合会HP「日本の年金制度の体系」より筆者作成
 
その後、厚生年金基金の代行割れ(保有資産が最低責任準備金に満たない状況)が社会問題となり、2014年4月1日に施行された「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律について」により、以下のとおり厚生年金基金制度が見直されることになりました。
 
(1)施行日以後は厚生年金基金の新設は認めない。
(2)施行日から5年間の時限措置として他の企業年金制度への移行を促進する。
(3)施行日から5年後以降は、健全基金以外の基金に解散命令を発動する。
 
そして、今年の4月1日で施行日から5年が経過しました。
 

厚生年金基金の加入状況を確認する方法は

令和元年9月1日現在で、存続している厚生年金基金はわずか8社となり、その他の厚生年金基金は、確定給付年金または確定拠出年金に移行しています。
 
勤務している会社が、厚生年金基金を解散して新たな年金制度に移行している場合は、厚生年金基金の加入記録は引き継がれますので問題はありません。
 
しかし、過去に勤務していた会社が厚生年基金を解散した場合は、企業年金連合会から年金が支給される可能性がありますので、加入記録を確認されることをお勧めします。
 
なお、企業年金への加入状況は、企業年金連合会の「企業年金記録確認サービス」を利用して、基礎年金番号など必要事項を入力することにより確認することができます。
 

まとめ

厚生年金基金は、2014年度から他の企業年金に移行することが促進され、今年5年が経過しました。今後は、健全基金以外は強制的に解散させられることになります。過去に転職を経験した方は、在籍した企業が厚生年金基金を解散していないか確認されることをお勧めします。
 
出典
企業年金連合会
厚生労働省 「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律について」
企業年金連合会 企業年金の現状(令和元年9月1日現在)
 
執筆者:辻章嗣
ウィングFP相談室 代表、CFP(R)認定者、社会保険労務士

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