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定年直前でリストラ、難航する再就職。50代男性がどん底から“大逆転”を目指した結果…

Finasee / 2024年4月24日 11時0分

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Finasee(フィナシー)

<前編のあらすじ>

小池さんは会社員として長年外資系広告代理店に勤めていました。日々真面目に仕事に打ち込み社内では高い評価も得ていましたが、58歳の時に会社から突然リストラを宣言されてしまいます。

仕事に一生懸命取り組んでいた小池さんはあまりにも唐突な知らせに戸惑いますが、奥さんからの応援の言葉もあり前向きに就職活動に取り組むことに。ところが130社応募をしても半数は書類で断られてしまい、再就職がなかなか決まりません。

そんな中で、ハローワークで受けたアドバイスで公務員の募集を知ります。キャリアコンサルタントの方の「公務員募集は募集要項に合致するなら年齢ではじかれることはないので可能性はあります」という言葉に背中を押され、応募をしてみることにしました。

●前編:【58歳男性が定年直前でリストラ…再就職に向け130社応募も、ほぼ書類落ちの「厳しすぎる現実」】

公務員募集の面接結果は?

小池さんは首都圏の役所に20ほど申し込み、面接まで進んだところが3つありました。その結果、なんとそのうちの1つの役所から合格通知をもらうことができました。後で採用を担当した方に話を聞いてみるとかなりの倍率だったそうです。

採用形態は「会計年度任用職員」といって1年契約の任用職員枠で1年ごとに継続してゆく形での採用です。年収は広告代理店時の3分の1ほどになりましたが、「職につけたことが何よりうれしかった」と小池さんは言います。

58歳での退職は会社都合で退職金にも上乗せがあったため、これまで堅実に貯蓄してきたお金が多少なりともありました。その上、再就職によって今後も継続的に収入が得られるという安心感も得られました。

新しい職場での小池さんの見事な活躍ぶり

とはいえ今までと全く異なる環境での仕事です。最初は小池さん自身公務員の仕事ができるのか不安な中での出発でしたが、予想以上の活躍をします。

仕事は折しもコロナがまん延していた頃。主な業務として担当エリアの中小企業や商店会へ行き、公的補助金の説明をするというものでした。前職で小池さんはクライアントにプレゼンテーションすることが日常業務。得意先に分かりやすく説明することは当たり前のことでした。

ところが役所から発信されている案内文を読んでみると文字が小さく、文章が細かく全部を網羅するように書かれていたことに驚きます。

「これではどこに何が書いてあるのかわからず理解してもらえないだろうな」

そこで端的に伝える内容だけに絞り、大きな文字と図を取り入れ案内文を作成してみました。すると訪問先の方々から思わぬ反応が。

「今までで一番わかりやすく、どうしたらいいか一目瞭然ですね。有り難うございます!」

おかげで地元の中小企業や商店会を訪問した時もわかりやすい説明が好評で、ほとんどの人たちと顔見知りになり、人の役に立てているという実感や達成感が湧いてきました。

こうした活動や実績は役所の中でも話題になり、小池さんに対する見方が大きく変わってきたのです。業績評価も異例の高評価でした。

「今まで当たり前にやっていたことでも、環境が変わるとそれが強みになるのだと気付きました。自分ではわかりませんね」と小池さん。強みは違う勤め先でも発揮できるのだと自信を持つことができました。

再就職での思わぬ発見

また、新しい出会いである地域の人たちから気付かされたこともあります。話し合う時は対等に接しないと反発されうまくいかない。そのおかげで上から目線だったのが随分改善できたそうです。

「外資系広告代理店時代にはおよそ接する機会のなかった人たちと触れ合うことができ、その方々から多くのことを学んでいます」

職場での交流によって人間としての幅がますます広がってきたようです。

さらに再就職をしてからは、「お金を稼ぐことと収支のバランスを考えて生活することはとても大切、そしてそれは普遍のルールだ」ということも改めて実感することになったと言います。ですが、それ以上に気付かされたのは「“世のため・人のため”に貢献したい、自分が培ってきた知識やスキルを多くの人たちに還元したい」という気持ちが高まっていることでした。

小池さんはこうして気持ちの変化もあり、もっと自分の可能性を試してみようと決意。その取り組みの1つとして、国が主催している「中小企業と個人=人材のマッチング事業」にトライします。

すると、なんと3年連続でマッチング候補に選ばれたのです。素晴らしいことですね。マッチングした会社とは徐々に打ち合わせが始まっているようです(小池さんは会計年度職員のため副業可能)。また都が主催するビジネスコンテストにも参加され準決勝まで勝ち進むという記録も作りました。

趣味も充実

実は小池さんは趣味がオートバイのツーリングで、週末は1日500~700キロ爆走するライダーです。最近では自分のライフワークであるバイクでも世の中に貢献できないかを考えています。

「シニアになってバイクを始めたいとか、昔乗っていたが再開するには自信がないという人に向けてのスクールをやりたい。そしてその方々とシニアの生き方や働き方などのコミュニティーを作ってみたい」と都内での安全運転スクールや、あるいは地方移住も視野に入れたバイク練習場の開設など、夢が膨らんでいます。

小池さんの体験談から学ぶこと

定年直前のリストラからの大逆転を果たした小池さん。小池さんの体験からは次のことを学ぶことができるでしょう。

①継続する力がある

書類選考で落とされても、自分に合う仕事が見つかるまで諦めないで継続して行動しています。再就職に向けた就職活動は誰しも難航したり、不安になったりするものですが、継続することで成果を目指していきましょう。

②自分の強みを活かそうと工夫している

前職と公務員の仕事は一見全く違う業務内容に見えますが、自分が培ってきたプレゼンテーション力やマーケティングスキルなどを再就職先でうまく発揮しようと工夫されています。セカンドキャリアを築くにあたって強みを見つけて活かすことは大事です。

③チャレンジ精神がある

自身の可能性を確かめるために、ビジネスコンテストなどを探していました。「とにかくチャレンジしてみよう」という気持ちと、ご自身の実力を試すことでさらに自身の能力を高めようとされている姿勢は定年活動にも大切なポイントです。

④環境に順応している

新しい仕事では役所の仕事を通して前職とは全く違う環境の人たちとの出会いがありました。慣れない環境でも順応しようと努力し、周囲の人たちを理解しようとしています。

⑤経済的基盤がある

現役時代の働きによって得た退職金と堅実的に築いてきた貯金があり、経済的な基盤を持っていました。中高年から新しい何かをスタートさせるのは勇気が必要なことですが、経済的な基盤があれば時間と気持ちにゆとりをもって挑戦できます。

*** 

「人生100年時代、どこまで仕事ができるかわからないですが、自分の好きなことで生涯現役を楽しみたいんです」と小池さん。いつまでも目標を持ちチャレンジすることは素晴らしいことですね。

髙橋 伸典/セカンドキャリアコンサルタント・モチベーション総合研究所代表・東京定年男女の会主宰

1957年生まれ。57歳で早期退職するも、多くのつまずき、苦労を経験する。しかし試行錯誤を重ねることで乗り越え、リスクなく独立する道をつかみ取る。東京都主催の東京セカンドキャリア塾、各自治体などでセミナーを行う。雑誌やウェブメディアでは、セカンドキャリアに関する寄稿の実績多数。著書に「定年1年目の教科書」(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

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